協調体制の確認

 原油価格の底を支えるための9カ国の協調減産延長の合意に加え、OPEC14カ国と非加盟主要産油国10カ国の協調体制が確認された意義も大きい。

 記者会見で、共同議長として、サウジのファリハとロシアのノバクの両エネルギー大臣が並んで座ったことに象徴されるように、二大産油国が先頭に立って、OPECと非加盟主要産油国が協調して国際石油市場の需給調整の役割を担っていくというひとつの枠組みが形成されつつある。

 確かに、今回の減産協定はいつまで続くかはわからない。ファリハが言うように、9か月経過した時点で、再々延長があるかもしれないし、ないかもしれない。しかし、国際石油市場における原油の価格形成で、協調減産が価格の下支えをし、シェールの増産が上値を抑えるという構造は、当面、継続される。

 この市場の構造は、突発的な紛争や事故といった大きなイベントや世界経済の回復による石油需要急増といった状況変化がない限りは、当面、変りようがない。従って、WTI原油先物価格で、50ドルを挟んで上下する価格水準で推移する状況も、しばらくは変わらないと私は予測する。

政治と石油の対立

 OPEC総会と合同会合の4日前の5月21日、米国のトランプ大統領は、就任後最初の外遊先としてサウジの首都リヤドを訪問、サルマン国王をはじめ、大歓待を受けた。武器取引やソフトバンクグループ社長の孫正義氏率いるファンドも含まれる、3000億ドル近い投資・貿易協定を結んだ。

 同時に、この訪問は、オバマ政権時代に冷え切った両国関係を修復し、イランとの対決色を一段と明確にするもので、シリアをめぐるロシアとの利害の対立も鮮明となるものであった。

 このように、政治的対立にもかかわらず、石油市場においては、サウジとロシアの共闘関係が成立している。他方、サウジと米国は政治的・軍事的には同盟関係にありながら、石油市場においては、サウジとロシアの主導する需給調整に対して、米国のシェールオイルの増産という対立関係が出来上がっている。

 石油をめぐる奇妙かつ微妙なサウジ・ロシア・米国の三大産油国による「新・三国志」の時代は、当面続くのである。