OPEC総会と合同会議の概要

 こうした状況の下、5月25日午前第172回OPEC総会が、午後からOPECと非加盟主要産油国の第2回閣僚級合同会合が、それぞれ開催された。

 決議事項は、ほぼ同じ、本年6月までとされていた前回合意の2017年3月までの9か月延長が全てである。併せて、昨年末合意された、合同閣僚監視委員会(JMMC)と合同専門家委員会(JTC)による監視や調整等の協調体制が再確認され、次回のOPEC総会と合同会合の2017年11月30日の開催が決定された。

 なお、非加盟国として協調減産に参加していた赤道ギニアがOPECへの新規加盟が認められ、OPEC加盟国は14か国(うち、インドネシアは加盟資格停止中)となり、減産に参加する非加盟国は11カ国から10カ国となった。

「9か月の減産延長」の意味

 9か月の減産延長については、よく考えられたOPECの「知恵」であると言える。

 OPECは、主権国家をメンバーとするカルテル組織であり、生産協定違反にも実効的な制裁はなく、生産協定の自主的順守を期待するほかない。特に、本年1月からの減産は、リビア・ナイジェリアの減産免除とイランの増産容認を含む「自主的な生産水準の調整」という形式を取っているため、減産幅の拡大で、全加盟国のコンセンサスを取ることはかなりの困難を伴う。

 昨年末のような自主的減産は、30ドル割れの原油価格暴落を経験した後でしか、合意できない。したがって、カルテルは、基本的に現状維持、現状を前提とせざるを得ず、「延長」の合意は取りやすい。

 次に、OPEC総会は、年央と年末の年2回の開催が基本であり、年央に当年下期の、年末に翌年上期の生産政策を検討する。したがって、本来、今回の総会では本年下期の生産協定を検討するのが原則である。しかし、シェールオイルの増産という現実を前にした時、需給均衡と原油価格の回復のためには、6か月間、本年下期の減産延長を決めただけでは、インパクト不足であり、9か月が必要であるという判断があったのであろう。

 国際エネルギー機関(IEA)によれば、協調減産の結果、2017年第1四半期には、世界の石油需要9660万BDに対し供給は9670BDとほぼ均衡に達した。だが、OECD(経済協力開発機構)参加国の商業在庫が30億バレルと過去最高水準で高止まりしている。そのため、ファリハが明らかにしたように、先進国商業在庫を適正水準である過去5年の平均水準(約27億バレル)まで取り崩させるには、9か月間の減産延長が「最適」であると考えられた。

 昨年末の協調減産合意時点では、ファリハは、本年下期には協調減産の必要はないと語ったが、シェールオイル増産や需要の伸びの鈍化等の状況を鑑みて、3月になって、減産延長を示唆。これまでの方針を転換し、関係各国間で根回しを行ったものとみられる。

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