OPEC総会に臨んだサウジアラビアのファリハ・エネルギー相(写真:ロイター/アフロ)

 今年5月25日の18時過ぎ(現地時間)。オーストリアのウィーンにあるOPEC(石油輸出国機構)本部の記者会見場では、第172回OPEC総会と第2回OPEC/OPEC非加盟産油国閣僚級合同会合が開催された。会合後の議長会見において、サウジアラビアのファリハ・エネルギー相は、自信に満ちた表情を浮かべていた。OPECと非加盟10か国は、約180万BD(=Barrels per Day、1日当たりの原油生産量)の協調減産を9カ月間延長することで合意できたからだ。

 ファリハ議長は、眼の前の記者団の向こう側に、当面のライバルとなる米国のシェールオイル生産業者がいることを意識していたに違いない。隣に陣取る合同会合の共同議長、ロシアのノバク・エネルギー相も、協調減産の有効性を強調した。

 これで国際原油市場の需給バランスが回復し、原油価格の回復に向けた道筋を示した──OPEC関係者は誰もが、そんな「理想」を期待しただろう。ところが、「ゲームの審判」ともいえる、ニューヨーク原油先物市場は、この協調減産の合意を評価しなかった。同日のWTI原油先物価格終値は、「合意は想定内」「内容に新味がない」として、前日比2.45ドル(約5%)安の48.90ドルと50ドルの大台を割る大幅な下落となった。その後も、40ドル台の終わりで弱含んでいる(図参照)。

図 原油価格の推移(2014年1月~2017年5月)
出所:NYMEXデータ等より作成

 サウジアラビアの石油担当大臣に就任後約1年が経過し、2017年の輪番のOPEC議長となったファリハ・エネルギー相は、痛恨のミスを犯した。協調減産の「9カ月延長」の合意という貴重なカードを切るタイミングを誤ったのだ。

 今回の両会議の最大の「売り」となるはずであった「9カ月延長」を、会議に先立つ5月15日に、北京で記者団に明らかにしてしまっていたのだ。同じカードは、一度しか切れない。二度目に効果はない。先物市場は冷淡である。

 本稿では、今回の減産延長合意に至る経緯、決議の内容を紹介するとともに、今後の展開を検討してみたい。