対シェールオイルでサウジとロシアの「石油同盟」

 ムハンマド皇太子は今回、ヒューストンで石油・天然ガス関係者と会合。現在、ヒューストンは在来型のOPEC原油とライバル関係の「シェールオイル」の拠点だ。09年頃からのシェールオイルの増産は米国を世界最大の産油国に押し上げた。トランプ大統領が掲げる「アメリカ・ファースト」に沿った「エネルギー自立」の柱として、貿易赤字縮小の最大要因となっている。一方、サウジと米国の特別な関係の基礎にあった「石油安定供給と安全保障の交換」を変質してきた。石油市場が注目するのはシェールオイルに対抗して協調減産を実現したサウジとロシアの関係。「石油同盟」(「エコノミスト」)ともいわれるが、地政学上の力関係の変化が「シェール革命」といわれるゆえんだ。

 サウジと米国の利害関係は複雑で交錯している。対イランなど地域の安全保障についてサウジは依然として米国に依存せざるを得ない。反面、石油市場ではシェール革命によって米国とは完全にライバル関係で、むしろ、ロシアとの協調が重要になる。イスラエルも加えると状況はいっそう複雑化する。それでも石油をめぐって敵と味方が変わる複雑さは今に始まったことではない。昔から常にあり、「本音」と「建前」を使い分けてきた。しかし、トランプ政権では政策間の整合性が調整されない。それだけにサウジと米国、そしてロシアの関係はいっそう複雑化する。