イラン核合意について、サウジやイスラエルの不満は15年間の核開発の停止を定めているだけで、禁止していない点にある。ムハンマド皇太子は訪米を前に米CBSテレビとのインタビューで、将来イランが核武装した場合、直ちに追随すると発言。サウジはパキスタンの核開発費用を負担しており、イランが核武装したら直ちにパキスタンから核兵器の引き渡しを受ける約束がある、といわれている。

産油国のサウジが原子力発電所を設置する理由

 それだけにトランプ大統領のイラン核合意の見直しと経済制裁再開の姿勢は、サウジにとって歓迎すべきこと。16年1月のイラン経済制裁の解除がなければ、17年からのOPEC、非OPEC主要産油国の協調減産は必要なかっただろう。

 サウジでは急増する国内の電力需要に対応するとともに発電燃料用の原油を輸出に回すため、40年ごろに16基の原子力発電所を設置する計画。ウラン燃料の濃縮は国内で行おうとしているといわれるが、この技術は核爆弾の開発に直結する。このため、核拡散防止政策から厳格な管理が要求され、韓国やアラブ首長国連邦(UAE)の原発は米国で濃縮したウラン燃料を使用する。一方、イランは核合意で一定量の濃縮が認められ、日本も最近延長が決まった日米原子力協定で使用済み核燃料の再処理などが例外的に認められている。

 サウジはイラン、日本並みの扱いを求めているが、米国の回答は現時点で聞こえてこない。サウジでの原発建設は米英仏中ロと交渉中。ウラン濃縮技術の供与が応札のポイントになると考えられるため、トランプ政権にとって難しい決断になるかもしれない。イスラエルは対イランでサウジと利害が一致し、水面下で協力を模索する。ただし、アラブ諸国の核武装につながりかねないため、サウジのウラン濃縮には反対する。
   アラブ4カ国(サウジ、エジプト、UAE、バーレーン)は17年6月以来、カタールに対し、国交断絶、経済封鎖問題を続ける。エジプト、UAEは国内の反政府組織であるムスリム同胞団へのカタールからの支援停止が課題。サウジはカタールのイランへの宥和的姿勢を問題視する。米国はカタールに空軍基地を持ち、ティラーソン国務長官が17年6月以降、双方を仲裁していた。しかし、ティラーソン国務長官の更迭の影響のためか、ムハンマド皇太子訪米でこの問題についてのニュースが聞こえてこなかった。