
3月に米国で行われたサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と米国トランプ大統領の会談。対イラン問題を中心に原子力、国営石油会社サウジアラムコの株式上場、巨額の武器取引交渉など幅広い課題が議題になった。会談を通じて、オバマ政権時代に極度に悪化した両国関係を修復。石油依存からの脱却を目指すサウジの国家改革計画「サウジアラビア・ビジョン2030」に対する米国の協力について話し合った。
サウジ側からの見返りは2017年5月のトランプ大統領のサウジ訪問時に合意の3000億ドルに上る投資・貿易協定の具体化。トランプ大統領は「サウジとの取引は4万人の雇用維持に貢献している」と持ち上げた。
サルマン国王の訪米が幻に終わった理由
ムハンマド皇太子の訪米は3月19日から3週間にわたり、ワシントン、ニューヨーク、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、ヒューストンを回った。大統領との会談のほか投資、IT、石油・天然ガスの各関係者らと懇談。アミューズメントパークの視察なども行った。
今回の訪米は本来、17年5月のトランプ大統領の初外遊であるサウジ訪問の答礼として、18年早々にもサルマン国王自身が実施する予定であった。ところが17年12月、トランプ大統領はエルサレムをイスラエルの恒久的首都として認定し、米国大使館のエルサレム移転を発表。コアな支持層であるキリスト教福音派へのアピールであるとみられるが、サウジやエジプトといった親米アラブ諸国にとっては青天のへきれきだった。国連では、エルサレムが将来のアラブ民族によるパレスチナ国家の首都に予定され、イスラエルにとっても、寝た子を起こすようなありがた迷惑な話だったに違いない。
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