スマホの轍を踏まないためにも、例えば自動運転分野において、経産省として何ができるのでしょうか。

世耕:これは国土交通省ともよく話さなければいけませんが、経産省が産業界の声も聞きながら、自動車や走行にまつわるいろいろな規制の撤廃を主導していく。これがまず一つだと思っています。

 あとは、自動車メーカーとよく対話をして、日本の自動車産業全体が同じ方向を向くのか、あるいはあえて戦略的に別の方向を向いておいて、どちらかが勝てるラインを狙っていくのか、そういうことも考えていかなければいけない。

 加えて、(経産省傘下の官民ファンドの)産業革新機構がルネサスエレクトロニクスの大株主であるわけです。これはかなり具体的な話になりますが、このルネサスというのは自動車に載せるマイクロコンピューターを作っており、自動運転の頭脳の部分を担える可能性がある。

 このルネサスの技術といろいろな自動車メーカーの技術をどう組み合わせていくか、というのは、実は日本の自動運転で重要なアプローチになる。ここは、かなりよく考えて戦略的にアプローチしていくと。そんなことが自動運転の世界で経産省のできることなのかなと思っています。

「AIに大変、希望を持っている」

第4次産業革命をつかさどるキーワードの中で、最も危機意識と優先度が高いのは自動運転だとすれば、次点は何ですか。

世耕:私は大変、希望を持っていますが、次点はAIであります。既に、AIに関する論文数では、米国にも中国にも負けています。ただ、最終的にはモノを動かさなければ意味がない。

 私は、工作機械や建機といった日本のモノづくりの技術とAIが結び付くことによって、いろいろな勝ち筋の商品を作っていくことができるだろうと思っておりまして、AIはかなり前向きに取り組んでいます。

 何よりも経産省が「日本の勝ち筋はここだ」と声高に言うことが非常に重要だと思うんですね。ならばということで、企業も安心して投資をしていけます。産業革新機構など経産省傘下の官民ファンドもいろいろありますから、それらをうまく組み合わせながら、しっかりと応援して、育てていきたいと思っています。

 応援の手法としては、補助金もあれば、例えば今、福島にロボットのテストフィールドなんかを作っていますが、そういう場を提供するというところから始めていく。AIの領域はまだ始まったばかり。早めに、プラットフォームを押さえなければいけません。

米グーグルの「TensorFlow(テンサーフロー)」など、汎用のAIプラットフォームでも米国に先行されています。

世耕:グーグルの人工知能は素晴らしいと思いますが、それだけでモノが動くわけではないですよね。だから私は、モノを動かすためのアプリケーションの世界を押さえていく、アプリのプラットフォームを狙う、というのもあり得るべしだと思いますね。