危機感を強めていた平井氏

 そうした様々な改革の集大成が、今期、「20年ぶりの営業最高益」として形となる。

会見中、平井氏は吉田氏の姿を何度も嬉しそうに見つめていた。
会見中、平井氏は吉田氏の姿を何度も嬉しそうに見つめていた。

 4月以降、平井氏は会長職に就く。代表権はなくCEO職も吉田氏に譲る。「ポジションが変わるときに一番大事なのは、誰がこの会社のリーダーなのかを社内外に明らかにすることだ。ソニーの経営トップは4月1日から吉田さん。彼とそのチームで経営していく」(平井氏)。

 好業績を背景に株価も好調に推移し、巷では「ソニー復活論」が台頭する。その最大の功労者でありながら、敢えて絶頂期に身を引く。18年3月期までの中期経営計画が一区切りし、来期から新しい中計を走らせるタイミングであることも、一つの理由ではあるだろう。

 それでも、あくまで吉田体制の「サポート役」に徹することを決断した平井氏の姿は、周囲にある種の“美学”すら感じさせた。

 「20年ぶりの好業績で社内の気が緩み、『もうこれで復活したんだ』と緊張感、危機感が無くなることが一番の課題だ」。平井氏は今後のソニーの課題をこう指摘する。後を継ぐ吉田新社長も、会見ではソニーの抱える様々な課題を挙げ、平井氏の危機感を共有していることを内外に印象付けた。

 多くの伝説に彩られた日本を代表する企業は、本当に甦ったのか。平井改革を振り返りながら、その成果と課題を分析していく。