消費増税前に「経済好循環」が始まるか

 給与増が消費に回り、それが企業を潤わせて、再び給与増になるという「経済好循環」がいよいよ始まる可能性が出てきた。それを先取りしてか、株価も戻り高値を更新している。少なくとも2018年は景気に明るさが見える年になるだろう。

 だが、これで「経済好循環」のエンジン回転が勢いを増すか、というと先行きに不安がある。2019年以降は所得増税と消費税率の10%への引き上げが決まっており、再び可処分所得がマイナスになる可能性がある。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えた「特需」がどれだけ盛り上がり、そのマイナス効果を吸収できるかにかかっているが、2018年にせっかく明るさが見えた消費に再び水がさされる可能性もある。

 2018年度税制改正大綱では、給与所得控除の縮小によって年収850万円以上の給与所得者は増税となることが決まった。基礎控除が拡大されるため自営業やフリーランスは減税になるとしているが、トータルでは増税だ。どれぐらいのインパクトになるかは分からないが、消費の足を引っ張ることは間違いない。

 もうひとつ、頭打ちになったかと思われた社会保険料も再び増加し、可処分所得を圧迫することになる。政府は2018年度の診療報酬改定で、医師の人件費などに相当する「本体部分」を引き上げる方針を固めた。薬価は実勢価格に合わせるだけで大きく減るので、診療報酬改定全体ではマイナスだが、財務省の審議会が求めた「本体部分」のマイナス改定は無視された格好だ。

 医師の人件費が上昇し、医療費が増えれば、その分、健康保険料は上昇する。それでなくても高い保険料だが、その上昇によって、手取りが減る可能性が出て来るのだ。2019年以降も可処分所得を増やす政策を政府が考えなければ、2018年にせっかく明るさが見える日本経済がまたしても失速することになりかねない。

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