羽田と成田の両空港はすでにフル稼働

 日本政府観光局(JNTO)の推計によると、2017年1月から10月までの訪日外国人数は2379万人。昨年1年間の2403万人と10カ月でほぼ肩を並べた。今年は2800万人前後になる見通しだ。東日本大震災前のピークは2010年の861万人だったので、何と2000万人も増えたことになる。

 東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年は、オリンピック目当ての旅行者が上乗せされることもあり、政府が掲げる4000万人という目標も決して夢ではない。問題は、それだけの人数を日本に運んでくるインフラが整うかだ。

 羽田と成田を合わせた年間の発着枠は2010年の52万3000回から2014年度には74万7000回に増えたが、すでにフル稼働の状態になっている。2020年にどこまでこれを増やせるかが焦点で、羽田の離着陸ルートの見直しなどが進められている。また、地方の空港の活用拡大なども動き出している。

 だが、空港の発着回数や航空機を増やせたとしても、それを飛ばすパイロットがいなければ、どうしようもない。

 国交省はパイロットを養成する航空大学校の入学定員を2018年度から108人程度と、それまでの1.5倍に増やした。また、東海大学がANAホールディングスと連携して、私立大学初のパイロット養成コースを開設している。これまで「あこがれの職業」として狭き門だったパイロットへの門戸を大きく開こうとしているわけだ。それでも年間300人程度のパイロットを生み出すのが限界だと言われる。

 問題は、いくら養成機関を整えても、パイロットになりたいという若者が増えなければ意味がないことだ。圧倒的な人手不足の中で、時間とお金をかけ、厳しい訓練の末にようやく機長になれるパイロットに挑戦しようという若者が減っているというのだ。他業種との人材の取り合いに直面しているわけだ。

 そのうち資金面でのネックを解消しようという取り組みも始まった。パイロット養成課程をもつ私立大学や専門学校など6機関が、パイロットを目指す学生に1人500万円を無利子で貸し出す奨学金制度を2018年度から始めると発表したのだ。6機関合わせ1学年25人の学生が対象になるという。果たしてこれで若者を引き付けることができるかどうか。

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