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グローバル経営を仕切る能力を持つ日本人がどれだけいるのか。(写真:PIXTA)

ルノー・日産BVのトップ人事が焦点

 経団連など経済界の首脳たちの間でカルロス・ゴーン容疑者の後任探しが行われている。

 有価証券報告書虚偽記載の疑いで11月19日に逮捕されたゴーン容疑者は、11月22日に日産自動車の会長職を解任されたほか、11月26日には三菱自動車の会長も解任された。一方、ルノーはゴーン容疑者のCEO(最高経営責任者)解任を見送り、ティエリー・ボロレCOO(最高執行責任者)をCEO代行に任命した。

 ルノー・日産・三菱自動車連合の総帥が突如として空席となったことで、今後の同連合の主導権を誰が握るのかが大きな焦点になっている。日産からゴーン容疑者解任の経過説明を受けたとみられる首相官邸と経済産業省は、ルノー日産連合の経営トップに日本人を据える方針を決め、経済界に適任者の人選を求めたとされる。

 3社連合の経営体制は、ルノーと日産の合弁会社である「ルノー・日産BV」(オランダ)の会長兼CEOをゴーン容疑者が務めることで、3社連合を率いる形をとってきた。日産側はこのポジションに日本人を据え、名実ともにゴーン容疑者の後任としたい意向をルノー側に示している。当然、ルノー側は反発している。

 ルノーと日産の間にはこの合弁会社のトップにはルノー側が就くという覚書があるとされるが、政府関係者によると、「絶対にルノーから出すという内容ではない」と解釈の余地があるとの見方を示している。

 1999年には経営破綻寸前だった日産がルノーに事実上救済される形だったため、こうした覚書が交わされたとみられる。ところがその後、大幅なリストラの効果で日産は復活。2017年の世界の自動車販売ではルノーが約376万台なのに対して、日産は約581万台と大幅に上回るようになった。売り上げや利益の規模でも日産はルノーを上回っている。

 ところが、ルノーは日産の議決権の43.4%を握っているのに対して、日産はルノーに15%の出資をするが議決権はない。日産側には格下のルノーに経営を牛耳られていることへの反発が以前からある。絶対権力者だったゴーン容疑者が失脚したことで、これが一気に表面化するのは半ば当然だった。ルノーとの協議では今後のアライアンスの進め方や資本構成についての見直しも日産側は求めているもようだ。

 資本構成を見直すことはそう簡単ではないにせよ、今後、日産とルノーの力関係を決めることになるのは、トップ人事だ。ルノー・日産BVのトップに誰がなるのかにかかっている。