つまり、日本企業の報酬や雇用形態はマーケット・バリューを意識したものになっていない、ということですね。経営者が後継者を選ぶ方法にも問題がありますか。

薮野:日本企業の場合、リセット・ボタンを押すケースがあまりにも少ないですね。経営者が自らの忠実な部下を後継者として選ぶケースが多い。そうやって選ばれた経営者はリセット・ボタンを押すことはありませんから、どんどん経営者が小粒化していく。不祥事でも起きないと、今の日本企業では外部から有能な人材を抜擢しようといった雰囲気にはならないでしょう。

40歳までに自分の方向性を明確にしておく

しかし、経済のグローバル化が進む中で、今、働き方が大きく変わろうとしています。これから社会に出ようとしている若い人たちに、アドバイスはありませんか。

薮野:20代、30代の17~18年の間は、重要な助走期間です。この間を無駄にしてはいけません。今の多くの大学生は在学中に「これをやりたい」と見極めている人は少ないでしょう。就職して3年くらいは1つの仕事に打ち込みながら、将来、自分は何をやっていくのか、一生懸命考えることです。40歳になった時に、自分自身が目指す方向が明確になっていれば、60歳までの20年間、迷いなく走ることができる。脱線しても自分で方向を修正できます。

 何を目指すか、どこへ行くかは、「夢」と言ってもいいかもしれません。若い人が夢を語ることがなくなったら、世の中は進歩しません。

 もうひとつは、20代、30代の間に、成功体験を得ることです。支店営業で3年連続でトップになったとか、社長賞をもらったとか、何でもよいのですが、成功パターンを身に付けることです。