日本の子供の6人にひとりが「貧困」

最近、『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす』という本を共著で書かれました。子供の貧困問題と、「働き方」の問題は関係してきますか。

小林:はい。いろいろな側面で関わってきます。「子供の貧困」は、いわゆる「相対的貧困」で、可処分所得の中央値の半分以下を「貧困」と定義します。2012年の日本の「貧困ライン」はひとり122万円ですが、親ひとり子供2人のような3人家族の場合だと207万円という計算になります。日本の子供の16.3%つまり6人にひとりが該当します。

 あまり実感がわかないかもしれませんが、現在15歳の子供120万人のうち生活保護世帯が2万1000人、ひとり親世帯が15万5000人、児童養護施設に2000人がおり、合計で18万人になります。つまり15%ですね。母子家庭でお母さんがダブルワーク、トリプルワークで働いているケースなど、子供の教育どころか食事づくりも思うようにできません。親の働き方や収入と、子供の貧困は密接に関係しています。

中学卒・40歳・男性の4人にひとりが働けていない

この本は日本財団の「子供の貧困対策チーム」の一員として調査に加わり、分担執筆されたものですが、小林さん自身がこの調査結果で印象深かった点はありますか。

小林:この本の2章で学歴別の40歳時点の就業率という調査結果を紹介しているのですが、男性の中学卒だと就業率は76.6%です。40歳で4人に1人が働けていないのです。これは驚きの数字でしたね。高校卒だと89.9%なので、中卒と高卒の差が極めて大きい。とくに、高校を中退した結果、中卒となるケースが非常に多いのです。

 私たちは、子供の貧困による所得の減少額を42兆9000億円と試算しましたが、その要因分析もしています。約半分の20兆円は大学に進学できなかったことによる所得減少なのですが、高校進学ができないことによるものが7兆3000億円、高校中退の高さによるものが10兆7000億円に達します。子供の貧困対策として、何とかして高校に進学させ、きちんと卒業させることが重要なのではないかと思います。

子供の貧困による社会的損失を定量化する

この調査に取り組んだきっかけは。

小林:日本財団が「子供の未来応援国民運動」というのを展開しており、子供の貧困問題をもっと社会に訴えたい、ついては、子供の貧困による社会的損失を定量化したいと、昨年春に依頼があったのです。仕事として受託したのですが、私は仕事を超えて、かなり思い入れがあります。

と言いますと。

小林:実は私は小学校4年生から中学校3年生まで、ほとんど学校に通えない、いわゆる不登校でした。家庭は決して貧困ではありませんでしたが、日本では学校教育以外に教育の機会がなかなかないということを体験として知っています。幸い私自身はかなり自由な公立の定時制高校に行ったことをきっかけに、その後、大学に進学、大学院にも進みました。でも、高校の同級生には、再び挫折して引きこもった仲間もたくさんいます。社会の仕組みからこぼれ落ちてしまう子供の貧困の問題は、決して他人事とは思えなかったのです。

次ページ 子供の貧困を「ジブンゴト」の問題として捉える