学力など「認知能力」は人工知能で代替されていく

 高い学力などといった「認知能力」は今後、人工知能(AI)で代替されていくとすると、将来に向けて重要になるのは「生きる力」や「やり抜く力」「情熱」といった「非認知能力」であるという。厚生労働省の懇談会のメンバーとして「働き方の未来」について報告書をまとめた三菱UFJリサーチ&コンサルティングの小林庸平さんは、最近、問題になっている「子供の貧困」対策こそが、最も効果的な「成長戦略」になり得ると語る。そして貧困対策として、学力をつけることと同等以上に、「生きる力」や「やり抜く力」をつけさせることこそが重要になると強調する。小林さんに話を聞いた。

「子供の貧困」対策こそが、最も効果的な成長戦略になり得る。

小林さんがメンバーだった厚生労働省の「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書(以下囲み)では、多様な働き方ができるような人材を作る教育が重要だと指摘されていました。

長時間労働が前提のモデルは成り立たなくなった

小林庸平(こばやし・ようへい)氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング副主任研究員
1981年、東京生まれ。明治大学政治経済学部卒業、一橋大学大学院修士課程修了。経済産業省経済産業政策局産業構造課課長補佐などを経て、現職。専門は、公共経済学、計量経済分析、財政・社会保障。経済産業研究所コンサルティングフェローや日本大学経済学部非常勤講師も務める。2016年1月から8月まで、厚生労働省が設置した「『働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために』懇談会」のメンバーを務めた。著書(共著)に『徹底調査 子供の貧困が日本を滅ぼす 社会的損失40兆円の衝撃』など。

小林庸平:あの報告書は20年先を見据えた働き方ということでしたが、私はかなり、がい然性の高い内容になったと思っています。AI(人工知能)やロボットなどの技術進歩によって、どういう仕事を人間がやるのか、あるいは、人間がやらないで機械に任せる仕事はどれにするのか、それを考えることが重要になります。日本はこれまで終身雇用年功序列の正社員を前提としてやってきました。他の先進国に比べて生産性が低い分、長時間労働などで生産量を多く保ち、何とかほかの国と競争していた。そうしたモデルが時代の変化と共に成り立たなくなったわけです。

それがもうもたない。

小林:ええ。バブル崩壊以降、賃金の低下が続き、中間層が解体しつつある。そんな中で、定型的な仕事はロボットに置き換え、より付加価値の高い仕事などを人間がやるようになると見ています。そんな中で、定型的な仕事に不可欠だった知識を積み増す教育の重要性が減り、よりクリエイティビティに直結するような情熱だったり持続力だったりといった「やり抜く力」のようなものを育てる教育が重要になってきます。海外の研究者はそれを「認知能力」と「非認知能力」というふうに分けています。