雇用者数の増加はいずれ頭打ちに

 現状の人手不足で見る限り、外国人労働者が入ってきたからと言って日本人の仕事が奪われるという話にはならないだろう。仕事を探す人1人に対して何件の求人があるかを示す「有効求人倍率」は、厚生労働省が10月30日に発表した9月の実績で1.64倍と、1974年1月に肩を並べた。44年8カ月ぶりの高水準というから、高度経済成長期並みの人手不足になっているということだ。

 人口が減っているから人手不足になっていると言われるが、実際は、働いている人の数は増えている。総務省が発表する労働力調査によると、9月の就業者数は6715万人、会社に雇われている「雇用者」数は5966万人といずれも過去最多を更新した。就業者数、雇用者数ともに第2次安倍内閣発足直後の2013年1月以降69カ月連続で増え続けている。

 これは65歳以上でも働き続ける高齢者が増えたこと、働く女性が増えたことが大きい。安倍首相が言う「1億総活躍」「女性活躍推進」がある意味、効果を発揮しているのだ。今や65歳以上の就業者は800万人を突破、15歳から64歳の女性の就業率も70%に乗せた。いずれも初めてのことだ。

 問題はこれからだ。日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少し始め、すでに164万人も減少、2018年10月1日現在の概算値は1億2644万人となった。1年で25万人減のペースで減り続けている。人口の大きな塊である団塊の世代が2022年には75歳以上となり、働き続けていた人も職場から去っていくことになるだろう。早晩、65歳以上の働き手の減少が始まるのは確実だろう。女性の働き手も就業率が70%を超えてきたため、そろそろ頭打ちになる可能性が高い。

 そうなると、日本の人手不足はさらに本格化する。ロボットなど機械化や、働き方改革で人手のかかる仕事を減らしたとしても、労働人口減を補うことは難しい。そうなると、外国人に依存せざるを得ないのは明らかだ。個別のケースでは優秀な外国人が日本人のポストを奪うことはあるかもしれない。しかし、全体としては外国人が入ってきたから日本人が職を失うということは数字を見る限りありえないと言っていいだろう。

 「技能実習生」や「留学生」と言った便法ではなく、真正面から外国人を受け入れる制度として新資格を創設するのは、今後、本格的に移民政策を議論していく上でも重要な第一歩になるだろう。