女性の「キャリアパス」を考え直す
経団連の中西宏明会長が「就活ルールの廃止」に言及して大きな話題になったが、今後、欧米型の人材採用スタイルが広がるにつれ、新卒一括採用という日本型の仕組みは崩れていくに違いない。一方で、幹部社員になっていくには、大学卒の学士では不十分で、より専門性の高いMBAなど修士号や博士号の取得が広がっていくに違いない。そうなれば、企業が本格的に採用するのは30歳近い実績と能力が明らかな人材という時代が来るにちがいない。
そうなると、ますます女性のキャリアパスのあり方が問題になる。どのタイミングで結婚して出産するのか、というのが人生設計のうえでも重要になってくるだろう。もしかすると、さっさと子どもを産んで、それから就職し、子育てしながら職業人としてのキャリアを磨くというスタイルがクールだということになるかもしれない。
いずれにせよ、終身雇用を前提に、年功序列型の人事を行っていれば、優秀な女性の能力を120%引き出すことは難しい時代になっていく。より自由に会社を出入りできる採用・解雇の仕組みや、ライフスタイルに合わせた働き方を認める仕組み、勤続年数ではなく、能力や資格に合わせてポストに就ける仕組みなど、本当の意味での「働き方改革」が必要になってくるだろう。
安倍内閣が旗をふってきた「働き方改革」は、現段階では同一労働同一賃金や長時間労働の是正、正規非正規の待遇格差是正などに重点が置かれている。今後は、人々のニーズやライフスタイルの変化に合わせた働き方を可能にする仕組みを企業に導入させることが不可欠だろう。女性がライフスタイルに合わせて働き方を柔軟に変えられるようになれば、出産年齢が下がり、少子化に歯止めがかかる可能性もある。
働き方改革の第二弾として、日本型の雇用制度を大きく見直していけば、女性の活躍が進む一方で、少子化対策にもなり、企業の生産性も上がるという一石三鳥の成果が期待できるのではないか。
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