国家公務員合同初任研修で訓示する安倍晋三首相。公務員制度改革は進むのか。(写真:時事)

政権維持が目的化し「魂を売った」との声

 「もう誰も『公務員制度改革』なんて言わなくなった。長期政権のためには誰を敵に回さないことが大事かを第一に考えるようになった。霞が関は敵に回さないということだ」

 安倍晋三首相に近い構造改革派の重鎮は安倍内閣の「変質」を嘆く。「古い自民党には戻らない」「規制改革こそアベノミクスの一丁目一番地」と繰り返し述べて、国民には改革への期待感を煽る一方で、首相官邸は長期政権の維持が目的化し、そのためには「魂も売っている」と批判する。その典型が公務員への「優遇」だという。

 そんな官僚優遇の方針がまたしても打ち出された。公務員の定年を65歳に引き上げる方針を固めた、というのである。すでに、内閣人事局や人事院、総務省の局長級計10人ほどからなる関係省庁会議を設置して、具体策の検討を始めており、年度内に具体案をまとめるという。現在は原則60歳になっている国家公務員法の規定を2018年の通常国会で改正。2019年度から段階的に定年を引き上げる方針だ。

 人手不足の中で高齢者の活躍の場を確保するのは良いことではないか、と思う読者もいるに違いない。現在、高齢者雇用安定法という法律によって、企業に60歳以上の人の雇用促進を義務付けている。企業は定年を延長するか、定年自体を廃止するか、再雇用するかの3つの選択肢から対応を求められている。

 定年延長と再雇用は全く意味が違う。定年延長の場合、それまでの雇用契約が継続されるので、給与など待遇は原則維持される。一方で再雇用の場合、雇用契約を結び直すことになるので、待遇は全く別体系になる。定年になって再雇用されたら給料が半分以下になった、という話を聞くのはこのためだ。