「働き方改革」に本腰を入れる安倍首相。(写真:ロイター/アフロ)

参院選までの「ポーズ」ではなかった

 安倍晋三内閣が「働き方改革」に本腰を入れる姿勢を鮮明にしている。安倍首相自身は働き方改革を「今後3年間の最大のチャレンジだ」と繰り返し述べてきたが、周囲では参議院選挙終了までの「ポーズ」との見方が根強かった。働き方改革で掲げた「同一労働同一賃金」や「最低賃金の引き上げ」は、もともと民進党など野党勢力や労働組合が主張してきた政策だけに、選挙向けの「争点潰し」と見る声が多かったのだ。ところが、選挙に圧勝した後も、安倍首相は手綱を緩める気配を見せない。

 政府は9月中旬にも安倍首相を議長とする「働き方改革実現会議」を設置する。加藤勝信・働き方改革担当相や塩崎恭久・厚生労働相のほか、世耕弘成・経済産業相など関係閣僚のほか、榊原定征・経団連会長や神津里季生・連合会長、経済学者などの有識者が加わる。

残業時間規制に着手へ、「36協定」見直しも

 加藤担当相は8月28日のNHKの日曜討論で「残業の規制は労働基準法の中にあるが、労使協定で上限なく決められる仕組みにもなっている。規制の在り方について、しっかり再検討したい」と述べ、残業時間の上限規制に取り組む姿勢を示した。

 労働基準法は労働時間について、1日8時間、1週40時間(32条)、週1回の休日(35条)という原則を定めている。一方で、36条で「労使協定をし、行政官庁に届け出た場合においては、その協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」としており、残業を許容している。これがいわゆる「36(さぶろく)協定」である。これが日本企業の恒常的な残業や長時間労働を許しているとして、見直しに言及したのである。

 働き方改革の目玉としてはすでに「同一労働同一賃金」の実現が掲げられ、「ガイドライン」を作る有識者会議がスタートしている。また、安倍政権発足以来、最低賃金の引き上げにも前向きで、安倍首相は毎年3%程度引き上げ、将来は1000円程度にするよう求め、関係閣僚に環境整備を指示している。実際、今年度の見直しでは全国平均で3%、24円引き上げられ、822円となった。