「企業社会」から「個人が活躍する社会」への転換

ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の急速な発達で、求められる人材像が急激に変わって来ています。20年後の日本の働き方はどうなっているでしょうか。

帯野:会社などの組織が無くなっているか、組織のあり方が大きく変わっているでしょうね。個人が活躍することが前提の社会とでも言いましょうか。高度な経験や知識を持った個人が、個人として世界で戦う社会にになっているのではないでしょうか。企業社会が大きな地位を占めていた日本にとっては、構造転換を迫られることになります。

 もうひとつ。地方が輝かないと日本はダメですね。世界と戦うような一部の高学歴の女性ではなく、普通の女性がどう輝くか。ICT(情報通信技術)の発達などで、もっと小規模なビジネスなどが成功する素地ができるように思います。また、女性の所得が増えると消費が増えるという調査もあります。地域経済を底上げするためには、女性がもっと稼ぐことが重要だと思います。

帯野さんが社長を務めるインターアクトの仕事の仕方はどうですか。

帯野:まさに匠の世界なんです。皆、英語など外国語が好きで好きでたまらな人たちなので、とことん良い仕事をしようとします。伝統的な手工業に近いと思いますね。私は経営者として、49%は匠の仕事を追求することで構わないから51%は利益を考えてねと言っています。放っておくと、利益度外視になってしまうんです。

働き方も自由なのですか。

帯野:猛烈に自由です。スペシャリストになってしまえば、どこで仕事をしても問題ありません。現在はたまたま皆が会社に来て仕事をしていますが、自宅勤務も可能ですし、世界を移動しながらでもよい。私たちのクライアントはグローバルに活動している製薬会社などが多いのですが、世界を動き回りながら仕事をしている人から、翻訳の依頼がネットで来ます。物理的な場所というのはどんどん関係なくなっています。それこそ、ノートパソコンを持って海岸で仕事をしてもいい。何時から何時まで仕事をするかどうかもまったく自由ということが現実に起きています。それももちろん、スペシャリストならでは可能になるわけです。

人工知能が普及すると、職場は一変する

そうした社会で求められる教育は

帯野:自分の意志で、自分の力で生きていける基本的な知識を身に付けさせる教育が重要です。伝統的なパターン教育ではなく、自立心を育てる教育といえばよいでしょうか。これはかなり前から言われてきたことなのですが、なかなか実現しません。日本社会のDNAというか、固定観念でがんじがらめになっているように思います。

 例えば、各大学は競って卒業後の就職率などを公表するわけですが、その中にはアーティストになった人や私のように翻訳家になって自立して個人で働いている人は含んでいません。組織の中に入ることが当たり前という固定観念があるわけです。

 寄らば大樹の陰といいますか、組織に入っている方が安心なのでしょう。でも社会がどんどん高度化し、AIなどが入ってくると、組織の中でもプロフェッショナルでなければ仕事がなくなる日が来ます。組織に頼らない人生には山も谷もありますが、個人の力で夢をおいかけていくことは素敵な事です。

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