政府の中央教育審議会の委員などを務める、インターアクト・ジャパン社長の帯野久美子氏に聞いた。
女性の進出が、社会のあり方を変える
安倍晋三首相は2012年末の再登板以降、女性がより職場に出て活躍することを、政策の大きな柱として推進しています。

インターアクト・ジャパン社長
追手門大学を卒業後、国際学校で英語を学び、1982年にフリーランスの翻訳家として独立。1985年に翻訳・通訳の専門会社、インターアクト・ジャパンを設立し代表取締役。また2002年からはインターネット配信による英語教育教材の制作事業に乗り出した。語学を中心にグローバル教育に取組む。その傍ら、2009年から15年まで国立大学法人・和歌山大学の理事・副学長を務めたほか、大阪市教育委員、文部科学省大学設置・学校法人審議会委員、中央教育審議会委員などを務める。
帯野:女性の活躍促進を「経済問題」として捉えたのは、第2次以降の安倍内閣の最大の功績だと思います。安倍首相は始めのうちは「女性活用」、その後、「女性活躍促進」と繰り返し言って、女性がより社会で働くことを、日本経済に不可欠な問題として捉えています。
実は私は、第1次安倍内閣の時に、政府の「男女共同参画会議」の議員だったのですが、当時、議論を聞いていて唖然したことを覚えています。左派政党の代表のような方が、女性が働くことを、女性の権利拡大や男女同権といった「社会問題」として語り、それが多くの議員の共通認識だったように思います。
あれからまだ10年たっていないのですが、日本は大きく変わったと思います。やはり、政治のリーダーシップによって変わり始めると、一気に動くのだなと痛感しますね。
首相のリーダーシップの効果が大きい、と?
帯野:ええ。安倍首相自らが「女性活躍促進」と前面に掲げたことがすごく大きいと思います。女性の進出が、労働人口の不足を補うというだけでなく、社会のあり方が大きく変わるきっかけになった。転換点になったと言ってもいいと思います。
例えば、職場などへの女性の進出が進むと、それによって、多様な価値観がその組織に持ち込まれることになります。女性の進出によって社会や企業が大きく変わるわけです。
医師免許を持つ女性が働いていない、残念なケースも
今後、さらに女性が活躍できる社会に変わっていくには、何が重要だと思いますか。
帯野:女性の意識がもっと変わることですね。
例えば、医師不足の問題があります。私は文部科学省の大学設置・学校法人審議会の委員もやっていますが、医学部の新設を千葉・成田市で認めるのに大きな議論になりました。医師は不足していない、という議論になるのです。
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