「長時間働くのは止めてみろ」と経営者が言うべきだ

残業を規制し、働く時間を短くすることが問題解決につながる、という主張もあります。

中野:働く時間を規制すればよいというものではないとは思いますが、企業の中に、長時間フルコミットしないと成果が上がらない、という固定観念がこびりついているのも事実です。とくに現場の管理職層は、働く時間を短くすれば、それで売り上げが落ちるのではないか、と恐れるわけです。いや、仮に売り上げが落ちても良いから長時間働くのは止めてみろ、と経営者が言う必要があります。現場の管理職に任せていたら、絶対に長時間働く方が良い、ということになってしまいます。

今年は、デパートの伊勢丹が1月2日を休みにして話題になりました。

中野:そうですね。SCSKもインセンティブを与えて残業削減に取り組んだ会社ですが、結果、業績は下がらなかった。実は長時間労働が会社のためになっているか分からないわけです。企業は経営者のリーダーシップで思い切って働く時間を削減する実験してみることが重要です。経営者がやらないのならば、国が規制を加えるというのもありだと思います。

厚生労働省の「働き方の未来2035~一人ひとりが輝くために」懇談会のメンバーとして議論に参加されています。20年後の働き方はどう変わっているのでしょうか。

中野:ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)の発達によって、仕事のやり方が大きく変わるだろうと痛感します。遠隔地を結んだリモートワークが当たり前になったり、移動がすごく簡単になって、「いつでも、どこでも」という働き方が当たり前になるかもしれません。そうなると、東京への一極集中が緩和され、より豊かな生活環境や子育て環境がある地域に移住する人が増える。そうなれば、待機児童の問題も解決されているのではないでしょうか。

 企業や日本社会が内から変わることにも期待したいのですが、懇談会で議論をしていると、どうやら技術革新など外からの圧力によって働き方が変わっていくのではないか。そう感じています。