就任以来、「女性活躍の促進」を掲げる安倍晋三首相。昨年には女性活躍推進法を成立させるなど、様々な施策を打っている。一方で、保育所の待機児童問題が世間の批判を浴び、対応を迫られている。企業が人手不足に喘ぐ中で、女性の働き方は今後どう変わっていくのか。働きながら大学院に通い、2児を育てる女性活用ジャーナリスト、中野円佳さんに聞いた。

女性の側も強気に要望できるように

安倍晋三首相は2012年末の政権奪還以降、「女性活躍促進」を政策の柱のひとつとして掲げてきました。企業での女性の働き方などに変化は出ているのでしょうか。

中野円佳(なかの・まどか)氏
女性活用ジャーナリスト
1984年生まれ。東京大学教育学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。記者として大手企業の財務や経営、厚生労働政策などを担当。育休中に立命館大学大学院先端総合学術研究科に通い、同研究科に提出した修士論文をもとに2014年9月、『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』を出版した。2015年4月、チェンジウェーブ入社。企業のダイバーシティ&インクルージョン施策の支援を担当する一方、東京大学大学院教育学研究科博士課程にも在籍。東大卒の母親のコミュニティ「東大ママ門」代表も務める。2児の母。

中野:もちろん企業によって取り組みの差は大きいのですが、女性が活躍できるような職場にしなければいけないという世の中の機運は高まったように思います。昨年夏に女性活躍推進法が成立し、様々なシンポジウムが開かれるなど、ムードは変わってきたと思います。

 もうひとつ、アベノミクスの成果というよりも団塊世代の退職が大きいと思うのですが、職場が急速に人手不足になったことで、女性の働き手を取り巻く環境が変わってきました。企業も優秀な女性には残って欲しいので、制度整備に前向きに取り組むようになっています。また、働く女性の側も企業に対して強気に要望できるようになってきたのではないでしょうか。

 もっとも、本質的にダイバーシティ(多様性)を求めて女性に活躍の場を与えようとしているのか、というとやや疑問なところはあります。新卒の採用では、もはや女性を積極的に採らないと、数がそろわないという事態に直面している企業が多いようです。

「マミートラック」へ変更されてしまう問題

女性の場合、出産と共に退職するケースが非常に多かったわけですが、そうした中で、出産しても働き続けることができるようになりつつあるのでしょうか。

中野:私が著書の『「育休世代」のジレンマ 女性活用はなぜ失敗するのか?』を書くための調査をしていた2012年ごろは、大企業でバリバリ働いていた女性が子どもを生むこと自体がまだまだ珍しいケースだったと思います。職場の中でパイオニアにならなければいけない。一方で上司もどう対応したらよいか分からない。通常のキャリアではなく責任の軽い仕事に回す、いわゆる「マミートラック」に振り替えるといったことが起きていました。

 女性の側も将来を描けずに、「もうこんな会社辞めてやる」と言って会社を去っていたように思います。それが2014年くらいから、徐々に変わってきたように感じますね。女性の側も出産第一号ではなくなり、もう少しこの職場で頑張ってみようかと思うようになっているのではないでしょうか。