6月15日に臨時閣議が開かれ、3つの文書が閣議決定された

「働き方改革法案」の成立はほぼ確実

 国会会期が7月22日まで約1カ月延長されたことで、政府が今国会での最重要法案と位置付けている「働き方改革法案」が成立することはほぼ確実な情勢となった。すでに5月31日に衆議院本会議で可決しており、参議院での審議が進み、本会議で可決すれば、法律が成立することになる。

 残業時間に罰則付きの上限を設けて長時間労働の是正を目指す点については、与野党とも基本的に一致しているが、経営者側の要望で盛り込まれている「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」については、野党は激しく反対している。衆議院は委員会で採決が強行されたが、参議院でも数で勝る与党の賛成で、導入が決まる見通しだ。

 高プロ制度は、年収1075万円以上の専門職社員に限って労働時間規制から外せるようにするもので、左派野党は「定額働かせ放題プラン」「過労死促進法案」といったレッテルを貼って反対してきた。

 高プロの対象になる社員は全体の1%にも満たないが、野党は、いったん法律が導入されれば、年収要件がどんどん下がり、対象社員が際限なく働かせられ、今以上に過労死が増えるとしているのだ。

 一方で、ソフトウエア開発などIT(情報技術)人材を多く抱える企業では高プロ制の導入は不可欠だと歓迎する。もともと労働時間と成果が一致しない職種では、時間で管理する意味が乏しい、とかねてから主張してきた。そこに穴が開くことで、今後、日本企業での働き方が大きく変わると期待しているわけだ。

 政府が「働き方改革」を掲げているのは、人口が減少する中で、働く人たちの生産性を上げていくことが、日本企業の「稼ぐ力」を考える上で、不可欠になってくる、という判断があるからだ。かつての工場型製造業が中心だった時代には、生産性論議は同じ時間に1つでも多くのモノを作らせるか、が焦点だった。残業を除けば労働時間が決まっているので、その間にいかにたくさん生産するかが、「生産性向上」だったわけだ。

 ところが、現代のクリエイティブ型の職種では、長時間働いたからといって、成果物がたくさん生み出されるわけではない。むしろ労働時間をフレキシブルにして、短時間でも成果が上がるような仕組みが不可欠になっている。オフィスの中に森を再現したり、リビングルームを作ったりする会社が登場しているのは、いかに仕事の質を高めてもらうか、に力点が置かれていることを示している。

 高プロ制度によって、時間管理を社員に任せ、多様な働き方を認めることによって、より質の高い、付加価値の大きい成果を上げる働き方が可能になる、と期待する会社があるわけだ。