女性のパート労働者が急増

 アベノミクスの前半は、正規の雇用者は減少し、非正規が大きく伸びるという状況が続いた。野党からは「雇用が生まれていると言っても非正規だけが増えている」と批判されたものだ。

 ちょうど団塊の世代が定年を迎えて嘱託社員にとなる例が増えたことが、正規の非正規化の大きな要因だったとみられるが、実際に正規が減っていたのは事実だ。ところが2015年ごろから正規の減少は止まり、前述のように2016年秋ごろからは正規の伸びが非正規を上回った。非正規ではなかなか優秀な人材が採用できないので、正規化する動きが広がったことが大きいとみられる。

 人手不足の状況が変わらないのに、なぜここへきて再び非正規が急増しているのだろうか。

 雇用者数はこの4カ月間で53万人増えたが、この間、男性の雇用者は8万人減少、女性の雇用者は61万人も増えた。雇用形態別ではパートが40万人増加したが、このうち女性のパートは29万人を占める。つまり、非正規雇用が急増している背景にはパートの仕事が増えていることがあるのだ。

 ではどんな業種で雇用が増えているのだろうか。

 最も雇用者の増加数が大きい業種は「卸売業・小売業」で、この4カ月の間に21万人増えた。次いで「情報通信業」が18万人増加、「宿泊・飲食サービス業」が16万人、「金融保険業」が同じく16万人増えた。もちろん季節要因もあるが、対前年同月比でも「宿泊・飲食サービス業」が39万人増加、「卸売業・小売業」も21万人増えている。明らかにホテルや旅館、飲食店、小売店といった消費産業で女性のパートを中心とする仕事が急増しているのである。

 足元の日本の消費はまだまだ力強さに欠けているというのが実情だ。にもかかわらず、宿泊、飲食、小売りで雇用が増えているのはなぜか。

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控えて、顧客が大きく増加するという「期待」が高まっているのが一因だろう。実際すでに、外国人観光客が大幅に増えた効果が出始めていることも、こうした産業の経営者を強気にさせている。

 2017年に日本を訪れた訪日外国人はJNTO(日本政府観光局)の集計によれば2869万人。今年は4カ月ですでに1000万人を突破しており、年間では3300万人近くに達するペースだ。政府は2020年に4000万人を見込んでいるが、このペースが続けば十分に達成できる。もちろん、訪日外国人が日本国内で落とすお金も大きい。

 その恩恵を受けるのは消費産業ということになるが、その効果をガッチリつかむには店舗を運営する人材が不可欠だ。