
「就業者数」「雇用者数」ともに64カ月連続増加
ここ数カ月、働く人の数が急増している。企業に雇われて働く「雇用者」だけでなく、自営で働く人を含めた「就業者数」が大幅に増えているのだ。人口は減少しているはずなのに、働く人が増えているのはなぜか。景気が良くなる兆しと見ることもできそうだ。
総務省が発表した2018年4月の労働力調査(5月29日公表)によると、就業者数は6671万人と昨年12月末からの4カ月間で129万人も増加した。1年前の4月と比べると171万人の増加である。
対前年同月比では、第2次安倍晋三内閣が発足した直後の2013年1月から64カ月連続でプラスが続いている。ピークは1997年6月の6679万人で、あと一歩でこれを更新する。
働く人の増加は安倍首相が繰り返し自慢するアベノミクス最大の「実績」で、経済が縮小スパイラルに陥った「デフレ経済」からの脱却を示すものとして、強調されている。特に、大胆な金融緩和による円高の是正で、企業収益が大幅に改善。企業が積極的に雇用を増やしたことが背景にあるのは間違いない。
「雇用者数」も同じく64カ月連続で増え続けており、2012年12月の5490万人からこの4月は5916万人と、426万人も雇用が生み出された。リーマンショック後の状況から一変。今では新卒者に企業が群がり、人材獲得競争が激しさを増している。
5年以上にわたって続く雇用者の増加だが、ここへきて、大きな変化が見られる。年明けからの増加率が著しいのだ。対前年同月比で見ると、1月1.5%増→2月2.1%増→3月2.5%増→4月2.8%増と2%を超す伸びになっている。この5年で2%を超えたのは2月が初めてで、しかもそれ以来3カ月続いているのである。
いったい何が起きているのか。
一つの大きな特徴は「非正規」の伸びが急増していること。実は2016年10月から昨年12月までの15カ月中、14カ月は「正規」の伸び率の方が「非正規」の増減率を上回っていた。それが今年に入って再逆転しているのだ。しかもその伸び率が尋常ではない。対前年同期比で1月3.5%増→2月5.7%増→3月5.7%増→4月5.0%増といった具合だ。
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