多様な働き方を社員がすると、情報共有が大事になるのではないでしょうか。

青野:もちろんです。グループウエアを使うことで、基本的に情報はオープンに共有されています。誰が今、どんな仕事をしているかがチーム内で相互に分かるわけです。プライバシー情報とインサイダー情報以外はオープンにすることになっています。

上司と部下の風通しは良いのですか。

青野:上司に匿名でダメ出しする仕組みもあります。部下が部長以上の上司を評価します。上司は自分に対する評価をパソコンで見ることができます。例えば私に対する社員の評価を見ると、青野さんは公明正大かどうかという質問に92%がYESと答えていますね。

社員が集える「バー」を作ることを最初に決めた

サイボウズはユニークなオフィス作りでも有名ですが、日本橋に本社を移転されたのですね。

東京・日本橋の本社の「交流」のためのフロア。このフロアには、バーのほかにもカフェやリビング、多様なフリースペース、趣向をこらした会議室などがある

青野:本当にリアルなオフィスがいるのか、いるとしたら何が必要なのかを考えました。日本橋の地下鉄駅の上にできた新築ビルに移ったのは、便利な場所だからです。お客様にとっても社員にとってもリアルに会うなら便利な場所がいい。2フロアの下の階は交流するためのスペースで、お客様がいらした時の応接スペースや会議室があります。外部からいらした方がちょっとした作業をするスペースもあります。

 まっ先に作ることを決めたのが、バーです。夕方になると社員が集まってきて宅配ピザか何かをとって一杯やる。リアルな情報交換の場になります。

 その横には「リビング」があります。急に子どもが熱を出して保育園に預けられない場合、子どもを見ながらお母さんが仕事を片付けられる。そんな使い方もあります。

 上のフロアはパーテーションのない大部屋スタイルで、誰が何をしているかが見える形になっています。本当にワークスペースが必要なのか悩んだのですが、今のところ、やはり会社に来て仕事をしたいという人が多いですね。

青野さんが最近出版された『チームのことだけ、考えた』(ダイヤモンド社)を拝読しました。サイボウズ創業以来の盛衰や、青野さんの思考の軌跡をたどることができ、なかなかの経営書だと思いました。

青野:私は理科系なので、論理的に考え、結論を導いていく癖があります。多様な働き方を目指していくうえで、社員が理想に共感して、同じ目的を目指すことが大事だということに気づきました。私たちが目指すのは「グループウエアで世界一の会社になること」です。売り上げや利益だけを追うことではありません。株主も、配当や株価の上昇だけを求める人ばかりではありません。最近は株主総会がサイボウズのファンの集いのようになってきました。株主も私たちのチームの一員なのです。理想やビジョンを実現するためのチーム、株主と株式会社の関係も、そんな形が原点だったのではないでしょうか。