会議に遅刻をした時に「寝坊しました」と言えば、「たまにはあるよね」といった反応になりますが、「電車が遅れた」と言って、それがウソだったことがバレた時には糾弾されます。かつて「オフィス・グリコ」というのがあって、お菓子が置いてあり、食べた場合にはおカネを入れることになっていました。ところがおカネの計算が合わないわけです。1円たりともズレたら撤去するという約束で設置したので、すぐに撤去しました。

目的を共有して、それに合致すれば良いと仰いました。

青野:社員の提案で様々な制度を入れていますが、「コーヒー代補助」という制度を導入しました。営業の担当者がお客さんとの約束の合間にスターバックスに入ってパソコンで仕事をしているのに、コーヒー代が自腹なのはおかしい」というのが提案理由でした。確かに一理あるので、補助を出すことにしたのです。本当に働いているのか、休憩しているだけではないのか、と言い出したらきりがありません。みんなが公明正大にしていれば、非常に気持ちが良いのです。

日本社会には「ウソも方便」という感覚が色濃くあります。

青野:多様性の高いチームを前提にすると、もはや「あうんの呼吸で理解する」といったことは無理です。マネジメントするにも「本音と建て前」があってはやりにくいのです。そういう意味では、多様性を受け入れるには価値観の転換が必要だということです。

給与の増減にあまり関心を持たない人もいる

ライフステージに合わせて、子育て中なので今は残業はしないとか、短時間の勤務しかしない、という選択が可能だそうですが、評価は難しいのではないでしょうか。給与は年俸制ですか。

青野:その人がどれぐらいの市場性があるか、平均的な市場価格の給与をお互いの納得のうえで決めています。他のソフトウエア会社の平均給与と比べても決して高くはないのですが、給与の増減にあまり関心を持たない人も少なくありません。

 チームに所属して働く時に報酬というのは1つの要素に過ぎません。給与が少しぐらい高くても、上司との折り合いが悪くて猛烈にストレスがたまるなど、その他の条件がある。また、家族との生活を楽しむ時間が作れるとか、自分の好きな仕事ができるなど、金銭以外の報酬もあります。

 労働は苦役だとされてきましたが、自分が働く楽しさを知って自立する、そんな時代になっているのではないでしょうか。