「日本全体が変わるかどうかは、大企業次第」という意見も
伝統的な大企業が変わらなければ、日本全体が変わるのは難しい、という意見も多い。確かに、大企業の社員が夜10時まで働いていれば、下請け会社はもちろん、取引先で力関係が弱い立場の会社の社員は、それに合わせて仕事をしなければ生きていけない。夜10時に電話で、朝までに何とかしろと言われれば、徹夜で仕事をこなさなければならない現実が日本にはある。
そんな中で、パナソニックが午後8時以降の残業を認めないとしたのは大きな一歩だ。残業についても月80時間以下に抑えるという。残業時間の上限規制は、政府の「働き方改革実現会議」で議論されているが、平均月60時間を上限にするという案も出ている。「それに比べれば甘い」という議論も成り立つが、大企業が自ら上限を決める意味は大きい。
パナソニックは旧・松下電器産業時代の1965年に他の大企業に先駆けて週休2日制を実施するなど、働き方改革に常に先進的に取り組んできた、という自負がある。こうした動きは今後、他の大企業にも広がっていくだろう。
バブル期並みの人手不足が背景に
逆に言えば、それぐらい人材採用難なのである。厚生労働省が1月31日に発表した「一般職業紹介状況」によると、2016年12月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍で、11月に比べて0.02ポイント上昇。1991年7月の1.44倍以来、25年5カ月ぶりの高水準だった。もはやバブル期並みの人手不足なのである。さらにバブル期の有効求人倍率の最高値は1990年7月の1.46倍で、このままの傾向が続けば、それを突破するのは時間の問題だ(■図1)。
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