物価の上昇に賃金が追い付いていない

パート労働者比率の上昇が影響

 会社員の給与は着実に増えているものの、最近の物価上昇で実質目減りとなっている――。厚生労働省が2月7日に発表した毎月勤労統計調査の2017年分で、そんな結果が明らかになった。現金給与総額は前年比0.4%増えたものの、消費者物価が0.6%上昇したことから、実質給与は0.2%の減少となった。

 アベノミクスの方針を受けて日本銀行は2%の物価上昇をターゲットに金融緩和を実施してきた。物価上昇が目標に届かないとして世の中の批判を浴びているものの、現実には物価はジワジワと上昇している。2016年の現金給与は実質でも増加だったが、このところの物価上昇で2年ぶりのマイナスになった。つまり物価上昇に企業の「賃上げ」が追い付いていない、という姿が鮮明になったのである。

 現金給与総額(事業所規模5人以上)は全産業の平均で月額31万6907円。前述の通り0.4%増えた。物価を考慮しない実額ベースでは4年連続の増加になった。2008年には33万1300円だったが、リーマンショックを機に急落しており、いまだにその水準を回復していない。

 もっとも、この数字は正社員などの「一般労働者」に「パートタイム労働者」を加えたもので、一般労働者分だけを見ると様子が違っている。というのも、パート労働者の比率が年々高まっているからだ。2008年に26.11%だったパート労働者の比率は一貫して上昇し、2017年には30.77%になった。パートの給与の総額は9万8353円で、パート比率の上昇は全体の給与額の増加にマイナスに働くからだ。

 一般労働者分だけをみると2008年の41万4449円からリーマンショックで2009年には39万8101円に減少したものの、2017年は41万4001円になった。ほぼリーマンショック前の水準に戻ったとみていいだろう。

 業種別にみると、業界の景況感が鮮明になる。一般労働者の業種分類で最も現金給与総額が高いのが「電気・ガス業」の56万8309円。もっとも前年比では1.1%のマイナスになった。「金融業・保険業」が52万6601円でこれに次ぐが、伸び率は2.7%増と高かった。伸び率が高かったのは「鉱業・採石業等」の2.8%増、「建設業」や「卸売業・小売業」の1.0%増、「医療・福祉」の0.8%増、「製造業」の0.6%増などとなった。