希望の党の動きが焦点に

 その後、解散総選挙を機に民進党は事実上分裂。労働基準法改正にどんな姿勢を取るのか全く読めなくなった。また、総選挙で支持政党を明示できなくなった連合が、今後どの政党と緊密に連携していくのかも見えていない。そんな中で、国会に法案が提出されたわけだ。

 代表質問では、野党第1党となった立憲民主党の枝野幸男代表が、働き方改革に対して「対決姿勢」を鮮明にした。特に「高プロ」制については、「残業代ゼロ法案」というレッテルを再び持ち出し、悪用されて残業代の不払いにつながりかねないとの懸念を示した。

 立憲民主党は民進党の中でも「左派色」の強い議員たちを中心に集結しており、伝統的な組合組織とも親和性が高いとみられる。立憲民主党は今後、共産党など他の野党と協力して、議員立法で対案を国会に出していく意向だ。

 一方、希望の党の玉木雄一郎代表も、労働基準法改正案に批判的な意見を述べた。働き方改革について、働く人の待遇を改善することよりも、人件費の圧縮が狙いではないか、と批判した。さらに「高プロ」制度について、「分離・削除することが審議入りの前提と考える」とまで述べ、高プロとセットの法案に反対していく姿勢を見せた。

 これに対して安倍首相は「高度プロフェッショナル制度の創設、裁量労働制の見直しや時間外労働の上限規制はいずれも健康を確保しつつ、誰もがその能力を発揮できる、柔軟な労働制度へと改革するものであり、1つの法案で示すことが適当と考えます」とし、あくまでセットでの法案成立を目指す姿勢を強調した。

 いったんは小池百合子氏が率いた希望の党は「穏健な保守」を掲げ、従来のリベラル色を薄めるかに見えた。それだけに玉木氏率いる希望の党が政策でどんな姿勢を打ち出すかが注目されていた。労働基準法改正についても現実的な対応をするのではとの見方もあったが、旧来の民進党左派に近い主張を打ち出しており、「先祖返り」の色彩が強い。立憲民主党の主張とほぼ違いはないように見える。

 希望の党が労働基準法改正で「強硬」な姿勢を見せた背景には、労働組合の支持を得たいという思惑があると見られている。立憲民主党に比べて勢いの鈍い希望の党は、旧民進党で無所属で当選した議員たちとの合流などを目指していたが、それも実現していない。このまま次の選挙に突入すれば、苦戦は明らかだ。地方組織を整備するためにも、労働組合との関係回復が不可欠で、地方の労組に反発の強い「高プロ」に明確に反対したのではないかとみられる。

 今後、予算委員会や厚生労働委員会での議論が待たれるが、玉木氏の主張通りだとすれば、労働基準法改正案の審議入りすら拒否する事態も想定される。安倍首相が最重点課題とする「働き方改革」に暗雲が漂っている。