外食産業では人手不足で営業を休まざるを得ないところも

 中には人手が足らないために、営業に支障をきたす業界も出始めている。深夜に営業する外食産業などの中には、人手が確保できずに営業を休まざるを得ないところも出始めている。

 もちろん、アルバイトやパートの時給を引き上げるなど待遇改善で人を集めようと努力している企業も多いが、そもそも深夜の仕事や土日の仕事が選ばれにくくなっているのだ。特に若い人ほどそうした傾向が強い。

 かつて大手の小売業が地方の高校などでリクルートを行い、大都市圏の社員寮に住まわせて店舗で働かせる人材確保の仕組みを作っていた。大都市には仕事があるが、地方都市は不景気で仕事がない、というのが前提に成り立っていたわけだが、これが崩れ始めている。全国の都道府県で有効求人倍率が1倍を超えるなど、人手不足は地方都市にも及んでいるからだ。

今後ますます都会の小売業は人材採用に苦労する

 大都市圏に出て来れば、社員寮は格安にしても、生活費は地方の比ではない。わざわざ大都市に出なくても、自宅から通える地方都市に仕事があればそこに就職する。そんな若者が増えているのだ。

 今後ますます大都会の小売業は人材採用に苦労することになるだろう。大きな戦力だった主婦層も、前述のデータが示すように共働きへと変わっている。定年退職した後の人材を使うにしても限界がある。人手不足はこれから一段と深刻になってくるのは間違いない。

 そんな中で、長時間労働は当たり前、土日に働くのも当たり前だった小売業は、真っ先に「働き方」の改革を求められることになる。働き方、つまり勤務環境を変えなければ人材確保ができなくなるのは目に見えているからだ。

他店とは異なる店づくりが必要になる

 そうなると小売業の営業のスタイルも大きく変えざるをえなくなってくる。どこの店に行っても似たような品揃えならば、その時に空いている店に買いに行く。ところが特定の店に行かなければ買えないものがあるとなれば、休業日の翌日に店を開くのを待ってでもその店で買うことになる。

 繰り返し言われていることだが、他の競合相手との差別化を進めるしかないわけだ。さらに従業員の待遇を改善するためには、商品を販売した際の利益率を高めなければならない。独自の商品を高く売る、逆に言えば高くても選んでもらうことができる店づくりが焦点になる。まさに経営力が問われる時代になるわけだ。