「消費者」よりも「働き手」として判断した人が多かった

 私は86.5%という圧倒的な数字を見て、別の事を感じた。「消費者」よりも「働き手」として、このニュースを見る人が多かったのだろう、というものだ。1月4日の朝8時に、この時間帯の番組としては比較的「硬派」のモーニングCROSSを見ている人自体が、これから出社して働こうとしている人たちが多いのではないか、という推論も成り立つ。

 だが、私は根本的に家族の構造が変わったことが、人々の意見を変化させたのではないか、と考えた。

 総務省の「労働力調査」の中に「専業主婦世帯」と「共働き世帯」の数の推移を示すデータがある。(■図1

■図1 専業主婦世帯と共働き世帯
■図1 専業主婦世帯と共働き世帯
(出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構)
[画像のクリックで拡大表示]

 それによると2015年の共働き世帯は1114万世帯であるのに対して、専業主婦世帯は687万世帯。この差は年々開いているが、とくにこの5年の変化は急激だ。共働き世帯が1000万世帯前後から一気に100万世帯以上増え、専業主婦世帯は800万世帯弱から100万世帯以上減ったのだ。

お母さんやお父さんが年末年始に働いている家が増えた

 1990年頃までは、専業主婦世帯の数が共働き世帯を上回っていた。1990年から2000年頃までは両者の拮抗が続いたが、2000年を境にどんどん共働き世帯が増えた。

 つまり、年末年始はお母さんが家にいるのが当たり前、という生活スタイルが激変し、お母さんもお父さんも年末年始は忙しく働いているという家庭が増えたのだ。これが、年末年始の小売業が休みを減らす原動力にもなったわけだが、皮肉なことにそれがさらに年末年始に働かなければいけない人たちを増やす結果になった。

 「もうそろそろ年末年始ぐらいゆっくり休みたい」──多くの人たちがそう感じるようになったのではないか。つまり、消費者としての視点よりも働き手としての視点の方に、より重心がかかるようになった、ということなのかもしれない。

三越伊勢丹HDの「覚悟」

 三越伊勢丹の経営者はその時代の変化を現場のムードから感じ取ったのだろう。1月2日を休みにしても世間の批判は浴びなかったことから、3日の休みも「検討」するとしたわけだ。休みを決めて発表するのではなく、検討段階だと断ってメディアに発信したのは、間違いなく世間の反応をみたいという経営者の思惑があってのことだろう。

 百貨店の経営者にとって営業日を減らす決断は「怖い」。普通ならば営業日が1日減れば、その分売り上げは減少する。しかも1月3日となれば仕事が休みの人たちがまだまだ多い。毎月の売上統計でも、日曜日の日数が減ると、てき面に成績が落ちる。それでも従業員の事を考えて休みにしますというのは、かなりの「覚悟」がいる。

 経営者がそんな「覚悟」を持たなければならなくなったのには理由がある。人手の確保が難しくなっているのだ。昨年11月の東京都の有効求人倍率は2.03倍。職を探している人ひとりに対して2つ以上の求人があることを示している。しかも求人数は79カ月連続で増え続けている。少子化の影響もあり圧倒的に人手不足なのである。

次ページ 外食産業では人手不足で営業を休まざるを得ないところも