消費者不在の訴訟、「青田売り」の弊害

 日経ビジネス2月22日号の特集「家の寿命は20年 消えた500兆円のワケ」では、日本の住宅に関する根源的な問題点を取り上げた。日本国内では一般的に受け入れられているが、諸外国からは奇妙に映る制度や商慣習が多々存在するのだ。

 その一つが、「青田売り」の問題だ。マンションの完成前に販売を開始することを指す。モデルルームや完成予想図、模型だけを見て消費者が購入を決めるもので、現在、国内のマンションのほとんどがこの方法で販売されている。

 青田売りは事業者にとってメリットが大きい。早期に資金回収が可能で、その資金を次のプロジェクトに回すことができる。一方で消費者にとっては、買った後で手抜き工事をされたとしても確かめようがないなどのデメリットがある。

 日本や中国の一部などを除き、外国ではマンションが完成した後で売り出すのが一般的。現物の品質をチェックできるため、消費者が安心して買うことができる。

 大津のマンションは、まさに消費者が購入直後に、欠陥が発覚したケースだ。しかもデベロッパーと建設会社が訴訟を続け、一番の被害者である住民は不安な日々を送っている。

 大覚は不具合が見つかった後で払い戻しに応じたが、それでも約30戸の住民はその後も住み続けている。訴訟に発展したことで、本来すぐに補修すべき箇所がそのまま残っているものもある。責任がデベロッパーにあるのか建設会社にあるのかは、住民にとって重要ではない。

 青田売りにせよ、デベロッパーと建設会社の訴訟にせよ、供給者側の論理が優先され、消費者や住民は二の次という姿勢はおかしい。消費者目線が欠落した住宅業界の仕組みや商慣習を、根本から疑う時期に来ているのではないか。