一審判決は南海辰村の勝訴

 主な争点は、屋上が重くなったことで建物の安全性が損なわれたかどうかだった。上記の通り、大覚が「地震が来れば危険な状態になる」としたのに対し、南海辰村建設は別の調査結果をもとに「建築基準法には違反していない」と主張。平行線をたどった。

 南海辰村建設の水野潔・建築本部工事部長は屋上の施工についてこう主張する。「コンクリートの増し打ちは認めるが、それは大覚側にも設計者側にも了解を得ている。判が押された書類を我々は持っている。大覚側が知らないはずはない」。

 一審判決は2013年2月。主な争点だった、屋上が重くなったことによる建物の安全性については、「安全性が確かめられる」として、大覚が求めた建て替え費用請求は棄却。実質的な南海辰村建設の勝訴で、大覚はすぐに控訴した。

 判決は、安全性以外の争点だった地下の漏水などの一部を瑕疵として認めた。ただし、南海辰村建設は「コンクリートから漏水した可能性があるが、深さ数十cmも溜まるとは考えにくい。(大覚側がコンクリートの施工状態を調べるために)穴を開けた箇所から漏水した可能性もある」(水野工事部長)とも主張する。

14階から落下した防風スクリーン。1枚約50kg。隣のマンションの駐車場に落下した。

 大覚によれば、重大な欠陥の可能性は一審判決の後も見つかっているという。2013年9月の台風で14階廊下から防風スクリーンが4枚落下。隣のマンションの駐車場などに落下し、多額の費用負担が生じた。

 2015年には、大覚が杭の施工状態をボーリング調査したところ、少なくとも2本の杭が固い地盤(支持層)に到達していない疑いも出てきた。大覚側は一審後に発覚したこれらの欠陥の補償について、控訴審で争う予定だ。

 南海辰村建設は真っ向から反論する。「杭が未達の可能性はない。(杭データに偽装があった横浜市のマンションと違って)電流計で杭の到達を確認する方法ではなく、支持層まで到達したかどうかを、土砂を採取して確かめている。工事記録写真も残っている」(水野工事部長)。