授業など多様な業務も委託も進む

 大学が受験産業へアウトソーシングしているのは入試関連業務だけではない。中核業務である「授業」の関連でも、外部委託が拡大している。

 ベネッセコーポレーションや河合塾グループのKEIアドバンス、代々木ゼミナールの高宮学園、駿台予備学校の駿河台学園などの著名な受験産業大手が、受け皿になっている。例えば、AOや推薦で合格した高校生は、一般入試の学生よりも、基礎学力が低い場合もあり、入学前に学力を補う補習授業を提供することもある。大学1年生が授業についていけるように補習授業を担う例や、「大学教員に対して、効果的な教え方を伝授するサービスもある」(河合塾グループのKEIアドバンス)。

 最近では一部の授業だけでなく、学部のあり方全体もコンサルティングする例も出てきている。例えば教育産業大手が、私立大学が新設する国際学部についてプログラム内容や留学先の選定などで全面協力する例もある。

 関係者によると、大学の業務委託は、規制緩和の流れの中で、1990年代以降増えた。ただ10年ほど前にも、過剰なアウトソーシングが問題視されたことがあった。このため、文部科学省は2007年に大学設置基準を改正。「大学が授業科目を自ら開設する」などと明確にして、いわゆる「丸投げ」を禁じた。最近の多様な業務の受託について、ベネッセの担当者に聞くと「あくまで大学が判断し、その指示のもとに提供しているもの。大学による丸投げではない」と反論する。

 2000年代頃、多くの企業がコスト削減、本業集中の掛け声の中で、IT(情報技術)部門の業務をアウトソーシングした。もちろん、うまく業務を効率化できた企業もあるが、時間の経過とともに自社の業務内容を横断的に理解する社員が減り、支障をきたす例も頻出した。

 まして大学は、教育・学問という効率性だけで処理するべきではない任務を担っている。コストや時間の節約を優先して、安易にアウトソーシングを続けていくと、「大学」といえるような中身が伴わない、空虚な存在になってしまう。そのときは、本当に学生や親から見捨てられることにもなりかねない。