追加値下げで猛追した東京ガス

 アンケート調査の前半は、JXエネの独走状態だった。同社は1月14日に料金メニューを発表し、その割引率が他社を大きく上回っていたからだ。

 基本料金は政府の認可を受けた規制料金である東京電力の従量電灯Bと同じだが、電気使用量当たりの単価が大幅に安い。300kWhまでの第2段階は従来比10.2%、301kWh以上の第3段階は従来比14%も値下げした。

 初めての発表は他社の様子を見るために控え目な割引率を設定している会社がある中で、同社は「始めから直球を投げた」(JXエネ電気事業部の大村博之部長)。

 ところが、アンケート調査の後半から東ガスがぐんぐんと追い上げ、最終的にはトップに躍り出た。

 これは2月1日に東ガスが追加の値下げをしたことが大きい。12月24日に料金メニューを発表した際には反応がいまひとつだったようだ。

 コラム「でんき総選挙」の初回で紹介したように、東ガス・事業革新プロジェクトの笹山晋一部長は「ファーストペンギンだった。(飛び込んだ海は)ちょっとしょっぱくて冷たかった」と語っている。

電力使用量の多い消費者が検討する電力会社(40~60アンペア契約が対象)

電力使用量が多い世帯でも東電は劣勢

 アンケート調査では基本料金が40アンペア以上の世帯で、東ガスとJXエネを検討する人の割合が、それぞれ東電を上回った。

 これは東電にとって痛手だ。電力料金は使用量が多いほど単価が高くなっており、電力会社にとって、電力使用量が多い世帯は利益の源泉だからだ。

 東電はこの層を死守するために、電力使用量が多い世帯の割引率が高くなるプレミアムプランを発表している。それでもこの層の世帯が他社に流れれば、東電としては看過できない事態となる。

 性別や年齢ごとの特徴を見ると、JXエネは男性からの支持が高い。ドライブなどでガソリンスタンドの馴染があるためと推測できる。

 東電は40歳までの若者の人気が他の世代より高い。電力使用量が少ない単身世帯などにおいては値引き率が低く、最大手の東電に関心が集まっているのかもしれない。

戸別訪問チャネルを持つ企業の出足が早い

 今のところ顧客獲得数を発表しているのが東ガスと東急パワーサプライだ。東ガスは2月23日までに約5万4000件、東急パワーは2月24日までに2万件を突破したと公表している。

 いずれも日頃からガス機器の整備やケーブルテレビの契約などで戸別訪問をするケースがあり、顧客の接点が濃い企業だ。料金メニューを細かく比較するのではなく、普段から付き合っている企業と電気についても契約したという流れがあるようだ。

 A・T・カーニーの筒井慎介プリンシパルは「戸別訪問チャネルを持っている企業は出だしで顧客を獲得しやすい」と分析する。