ただ、「物理を選択していたので、そっちの方に行かないとならないのではという意識もありました」。さらに、問題は受験。食品科学系学科の受験科目には、情報系学科のそれには不要な国語があったのだが、神﨑さんは国語が嫌いだったのだ。ところが、模試を受けてみると国語の成績も「そんなに悪くなかった」こともあって方針転換。その結果、京都大学農学部食品生物科学科へ進学した。

 在学中にはスケートでの活躍を認められ、「後輩が勝手に応募した」結果、第1回京都大学総長賞を受賞している。

関節から筋肉へ、競技者より高齢者に

 修士課程を経てサントリーに入社後は、サントリーウエルネスに配属され研究を仕事にしてきた。これまで取り組んできたテーマはというと、筋肉だ。手にしているのは『ロコモア』というサプリ。“軟骨成分”のグルコサミンとコンドロイチン、そして“筋肉成分”のイミダゾールペプチドを配合した商品だ。テレビをよく見る人には、CMでおなじみの商品だろう。CMには神﨑さん自身が出演しているバージョンもある。

 この商品につながる研究を始めたのは7~8年ほど前、入社して2、3年目の頃だ。当時、世の中で注目されていたのは筋肉より関節だった。

 「ひざの関節の軟骨は加齢によってすり減っていくので、それを補うために『グルコサミン&コンドロイチン』(現在『グルコサミン アクティブ』として販売)という商品があって、認知も進んでいました。ただ、体を動かす上では、関節だけではなく筋肉も非常に重要な組織なので、そこにまで領域を広げようという話になりました」