高校で英語を教える父、専業主婦の母の元に生まれた飯野さんは子供の頃、学校の先生になりたかったという。

 「でも、どうしてもなりたいわけではなくて、特になりたいものがないから、先生と言っておこうかなというぐらいの感じで」

「1を100」に敬意を、「0から1」を自然に

 どちらかというと内向的で、外ではあまり話ができず、おとなしくしているタイプだった。ただ、従順というわけでもなく「へそ曲がりなところもあった」そうだ。

 そのせいか「当時、女子は文系へ行くのが普通という雰囲気があったので、その普通がいやだったのかもしれません」と、理系進学を決める。理系と言っても幅が広いが「物理や化学にはあまり興味がなくて、医学も難しそうだし。なんとなく、薬学か農学かなと。親は、女子は就職が大変だから資格の取れるところへ行きなさいと言っていましたが、でも、どうして農学部という資格の取れないところへ行ったんでしょうね。たぶん、実家から近くて通いやすくて、ちょっと頑張ったら入れそうなところに大学があったからだと思います」

 肩の力が抜けているのは、昔からのようだ。

 「気負いとか思い込みとかもないんです。仕事でもそうですね。緻密に積み上げるのはあまり得意ではなくて、なんとなく、こんなことができるかもという感覚で始めて、始めたからには引くに引けなくなって、やっているうちに落としどころが見えてくるんです」

 飯野さんは、エファージュについても「事業として大きくした人の方が偉いと思います」と言うが、1を100にする人が活躍できるのは、その後が100に育つか、そもそも1にできるかどうかわからなくても、まずはなんとか0を1にする人がいるからだ。飯野さんはその0を1にする仕事を、実に自然に続けてきた。

肌機能評価室へ
地味な部屋ですが、各種測定機器がズラリ
肌年齢のチェックとアドバイスを
飯野妙子(いいの・たえこ)
サントリーウエルネス
健康科学研究所 開発主幹
薬学博士
<履歴>
1990年 京都大学農学部食品工学科卒業
1990年 サントリー入社
2004年 学位(薬学)取得
<主な所属部署>
基礎研究所 健康科学研究室
ヘルスケア事業開発部 健康科学研究室
健康科学研究所
食品研究所 新規食品開発G
健康科学研究所
<入社以来の主な担当業務>
・健康食品および化粧品の原料開発における有用性評価(キシロオリゴ糖、フラバンジェノール、火棘、亜麻リグナンなど)
・健康食品および化粧品(製品)の有用性評価(FAGE美白美容液(化粧品/医薬部外品)、フラバン茶(健康飲料)、ビックル(清涼飲料)、セレボス社サプリメント商品など)
・新規分野の食品開発に関する検討プロジェクト(チルド飲料、豆乳・野菜飲料、乳酸菌配合飲料など)
・化粧品の開発
・皮膚生理研究