しかし、堂々巡りになるが、それでも科学的に裏付けられていればいいではないかと主張する人もいる。自社商品の科学的根拠に自信があればあるほど、その傾向が強い。たとえば、研究者などはそう思いがちなのではないか。

 「そうなんですよね。でも、化粧品にはそれとは別の世界観“も”大事だし、必要だということは、社内でもだいぶ議論しましたね」

酵母の写真と売り場の説明と

 事業として成り立たせるには、研究者以外のスタッフとの話し合いも重要になる。

 「やはり、これまでほかの商品を手がけてきた企画や販促の人たちと一緒になっての立ち上げが必要なのですが、そのときには『こういうことは言えませんか』『こう言い換えてもいいですか』聞かれることもありました。ときには『それは言い過ぎでしょう』と返すこともありました」

 そうやって他部門のスタッフと仕事をすると、他部門のスタッフ、その向こうにいるお客さんの視点に気付かされることも多い。

 「企画や販促の人から『パンフレットに酵母の写真を載せたいので、提供してほしい』と言われたんです。私たちにとっては酵母って普通の存在で、わざわざ写真を載せるまでもないと思っていたのですが、『写真があるとサントリーらしさが出る』と言われて、そういうものなのかと」

 飯野さん自身も、デパートの化粧品売り場へも足を運び、トレンドを知り、説明を聞いて「ああ、こういう説明をするんだ」「ここが一番の売りなんだな」と学んでいる。

 「それは楽しみでもあるんですが、参考にもなります」