少し遡ると、サントリーの健康食品の事業もそうやってスタートしているという。研究者が世界中から、酒造りに使えるかもしれない、酒造りには使えなくても何かに使えるかもしれないと集めてきた酵母は、酵母バンクと呼ばれる保管庫に蓄えられてきた。

 ただ蓄えるだけでなく、たとえば虫歯に効くとかアレルギーを抑えるとか、「こんな効果があったらいいな」と夢を描き、その効果がないかどうかを評価し、研究を重ねてもきた。すぐには自社商品化には結びつかない研究が許されてきたのは、今日の試験や明日のプレゼンには役に立たなくても、そういったものの中に、後に役立つものが埋もれているという考えがあったからだろう。

 そうやって先人によって蓄えられたストックから、どれを選ぶか。最初に大事にしたのは、機能の高さよりも、イメージだった。

まずはイメージ、そして機能の戦いへ

 「酵母は、世界中どこにでもいます。汚物の中にもいます。でも、そこから取り出した酵母を使った化粧品です、という紹介の仕方をしても、お客様としてもあまり嬉しくないと思います。化粧品は、イメージがとても大事なので。ですから、たくさんある中から選ぶとき、イメージが最初のステップになります。まず、いいイメージのものを集めて、さらに、商品に仕上げたときに変なにおいが出たり感触が悪かったりするものを避けます」

 そういった予選を勝ち抜いた酵母だけが、機能での戦いという次のステップに進むことができるのだ。

 機能より、まずはイメージ。ここには化粧品という商品の性格を強く反映されている。

 化粧品を選ぶときの基準は機能だけという人も、イメージだけという人もいるだろう。おそらく、機能だけという人より、イメージだけという人が多い。でも大半の人は、機能もイメージも、比率は人によって異なるとは言え、どちらも気にしている。これもおそらくだが、どちらも気にするけれどどちらかというとイメージを重視する人が多いのではないか。この案配は、人によって異なる。

 これは化粧品以外でも同じかもしれない。安全であることが科学的に裏付けられていても、イメージが悪ければ安心できない人はいる。その人たちのことを科学的リテラシーがないと批判することは簡単だが、安心できない人がいるのなら、安心してもらえるように科学以外の部分で工夫をすれば、賛同者は多くなる。商品で言えば、買ってくれる人は多くなる。