緑茶の香りで広く重視されているのは「茶葉のもつ新鮮な香り」だという。

 ではどうやって、ペットボトルの蓋を開けるまで、淹れたての新鮮な香りを保つのだろう。

新鮮な香りの「官能」を求めて

 「まず、新鮮な香りは緑茶のどの成分によるものなのを突き止めます。新鮮な香りが失われるということは、その成分が減ったり壊れたりしているからなので、なぜそのようなことが起こるのかを解明し、それが起こらないようにする必要があります。その成分をどうやってほかの成分と切り分けて取り出すのかも、もちろん知らなくてはなりません」

 その新鮮な香りの成分を、流通させるにあたって欠かせない加熱殺菌というプロセス、ペットボトルを通って入ってくる微量の酸素に負けないよう保ったり、そういった過程を経てちょうど淹れたてになるよう、コントロールしたりすることになる。客の目の前に皿を置いたときに、その料理の味、香り、見た目、暖かさ、柔らかさなど、すべてのコンディションを最高に整えるような、精度の高い制御が必要になる。

 さらに、新鮮な香りとひとことで言っても、いろいろだ。淹れたてのお茶の香りにも、いろいろな香りがある。急須で入れた新茶でも、その茶葉の種類や産地、育て方、などで香りは異なる。いくつもある香りのうち、どの「新鮮な香り」を強調するかは、新しいおいしさづくりを大きく左右する。

 「機械で分析もしますが、どれがいい香りなのかは1人では決められないので、何人かでこれは野菜のようだとか、海苔のようだとか、言葉ですりあわせていって、それでこれだというターゲットを決めていきます」

 官能評価室と呼ばれる部屋に何人かで集まって、ワインのソムリエのようにテイスティングの作業をするという。