ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典氏が、その重要性を強調した「基礎研究」。しかし、それに携わる人々は「研究所の奥で日々ひたすら研究に勤しんでいる」イメージで、実像になかなか触れる機会がありません。 例えばメーカーの「商品開発」に関しても、脚光を浴びるのはヒットアイテムの商品化を手掛けた「商品企画」部門で、その基盤となった基礎研究にはなかなか光が届きません。 このコラムでは、メーカーの研究所で働く「基礎研究の人々」にお話をうかがっていきます。なぜメーカーで基礎研究をすることを選んだのか、なぜその研究テーマを選んだのか、日々どんな研究生活をしているのか、手応えや悩みは? などなど、知られざる生態に迫ります。
シリーズ
「基礎研究」の人々

完結
7回
-
火をつけろ、幕を引け、すべては次の研究のため
サントリーのR&D表彰制度で第1回MVPに選出されるなど、トップ研究者である中原光一さんは、同時にサントリーグローバルイノベーションセンターの現場を率いる役割も担う。次代の人材と研究を育てるために必要なこととは。
-
酵母の魅力と可能性は「おおらかさ」にあり
児玉由紀子さんにとって酵母の魅力は「おおらかさ」だという。乳酸菌は「ちょっと気難しい」のだとか。おおらかな酵母は、大きな可能性も秘めている。それは酒づくりにとどまらない。
-
元フィギュア選手が追い求める「理想の脚」
元フィギュアスケーターの神﨑範之さんは「筋肉」の研究をしている。スポーツ選手のためではなく、高齢者のためだ。歩く速度が上がれば死亡リスクが下がる。ならば、いつまでもしっかり歩けるようにしようじゃないか。
-
「科学とイメージ」つなぎ、「美しさ」引き出す
サントリーが『エファージュ』ブランドで化粧品分野に本格参入したのは2010年のことだ。酒造りのために蓄えられた「酵母」に関する知見を、どのように生かしたのか。サントリーウエルネス健康科学研究所の飯野妙子さんに聞いた。
-
「おいしさ」求め続ける天然物屋は官能室にいる
いつものおいしさを保つ。新しいおいしさを見つける。おいしさには、香りや色も大事な要素だから、そのあたりも研究が必要だ。藻類の研究から転じた「天然物屋」は、官能室で日々、移ろいやすいおいしさの本質を追い続けている。
-
水を究めんとする者、宇宙で水を飲む夢を見る
矢野伸二郎さんはサントリーワールドリサーチセンサーで水の研究をしている。といって、研究室にこもっているわけではない。山に登り、水の留まり方や流れなどを調べている。いつか宇宙からも調べてみたいと考えている。
-
その「黒烏龍茶」の女、「ものとりや」につき
チキンカツの入った弁当を前に、その女性は言った。「私、『ものとりや』なんです。でも、泥棒という意味ではありません」。「物盗り屋」ではなく、生物化学の世界で言うところの「成分を取り出す=ものとり」の専門家である。
おすすめのシリーズ
-
小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明
「ピース・オブ・ケイク(a piece of cake)」は、英語のイディオムで、「ケーキの一片」、転じて「たや…
-
徹底予測2021年 底打ちか奈落か
日本経済の節目の年として幕を開けた2020年は、誰もが予想できない最悪の1年となった。すべての始まりはコロナ禍だ…
-
クルマ大転換 CASE時代の新秩序
総付加価値額が450兆円ともされる自動車産業の構造が変わり始めた。GAFAやEVスタートアップ、ソニーなどが新た…
-
不屈の路程
話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
-
菅野泰夫のズームイン・ズームアウト欧州経済
ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
-
1000年企業の肖像
日本は創業100年以上の企業が多くあり、世界一の長寿企業大国として知られる。その中には創業1000年を超えると伝…
-
10 Questions
いま、世の中で起こっていること。誰もが知りたいと思っていること。でも、ちゃんと理解できていないこと。漠然と知って…
-
河合薫の新・社会の輪 上司と部下の力学
上司と部下が、職場でいい人間関係を築けるかどうか。それは、日常のコミュニケーションにかかっている。このコラムでは…
-
ファクトフルネス思考
「データを基に世界を正しく見る習慣」を紹介した書籍『ファクトフルネス』は、日本で90万部を超えるベストセラーとな…
-
大西孝弘の「遠くて近き日本と欧州」
日本の読者にとって欧州のニュースは遠い国々の出来事に映るかもしれない。しかし、少子高齢化や低成長に悩み、企業の新…
-
グルメサイトという幻
食べログ、ぐるなび、ホットペッパーグルメ──。外食店探しに欠かせない存在となったグルメサイトの地位が揺らいでいる…
-
フェルディナント・ヤマグチの走りながら考える
この度、故有りましてこの日経ビジネスオンライン上で、クルマについて皆様と一緒に考えていくナビゲーター役を仰せつか…
-
ファストリ、異次元の経営
コロナ禍の混乱からいち早く抜け出したファーストリテイリング。破綻が相次ぐアパレル業界にあって、なぜユニクロだけが…
-
テスラが仕掛ける電池戦争
日本でも2030年代半ばに新車販売でガソリン車をゼロにする方針が打ち出されるなど、各国の環境規制強化により普及段…
-
70歳定年 あなたを待ち受ける天国と地獄
従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回