「未完成でもまず世に出して、アップデートしていく」

 いずれも、四家氏が自分の会社を興して、成長させるなかで身につけた、事業の進め方だ。ただ、時間をかけてじっくりと製品を作り込み、「100点満点」にしてから上梓してきた、従来のコマツとは対照的だ。なぜ、スマートコンストラクションではやり方をがらりと変えるのだろう。

 それは、「建設会社が『良いね!』と思ってくれない限り、広がりようのないサービスだからだ」(四家氏)。日本には47万社もの建設会社があり、新しい手法を受け入れることに積極的な顧客もいれば、そうでない顧客もいる。「提案に行っても、無視されることは日常茶飯事」とコマツレンタルの柴山氏は言う。同じITを使ったサービスとはいえ、自社の思い一つで全ての機種に標準装備できたコムトラックスとは全く異なるのだ。ならば、自分たちのやり方を変えるしかない。

 「未完成でもまず世に出して、足りない点をアップデートしていくほうが、結果的に早く良いものができるし、賛同者も増える」と、四家氏は強調する。ドローンや施工管理の画面などで、すでに何度も改良を重ねた。サービス開始から1年が経って導入現場の数が1000カ所を超え、社内のスピード感や考え方が変わってきたことを実感しつつあるそうだ。コマツで最も大事な「再攻」の現場は、自己変革の現場そのものだった。

 取材を終えて、デスクにレポートを送信した。きっとすぐに「この原稿、穴だらけだぞ!」とメールが返ってくるに違いない。実は、もう返事を決めている。

 「未完成でも出してみて改善を重ねていく方が、結果的に良いものになる。これが利根川の現場で得た収穫です」。

 (コマツ特集のオンライン連載は今回で終了です。当初、2月15~19日の掲載を予定していましたが、編集の都合で5回目の掲載日がずれてしまいました。最後までお読みいただきありがとうございました)