悶々としていたら、コマツの中国総代表である、市原令之氏がニコリと笑って教えてくれた。「高齢者ではなく、高齢車ですよ」。
そして、スクリーンに下のグラフを映し出した。(注:グラフは編集部で一部加工している)
このグラフにある8万超の青い点は、中国で稼働している建機1台1台を示している。市原氏によれば「高齢車」とはサービスメーターが示す累計の稼働時間が1万時間を超えるもので、このグラフでは赤い点線から右側にある点を指す。グラフの縦軸は1日当たりの平均稼働時間を示しているので、グラフの右上にいけばいくほどその建機は酷使されていると類推することができる。つまり、修理などアフターサービスの潜在需要が高いと言える。
こうした分析が可能なのは、コマツの建機に「コムトラックス」という遠隔監視の仕組みが搭載されているからだ。中国には現時点で通信可能な建機が8万台強あり、コムトラックスを使うとそれぞれの稼働状況がこのグラフのように手に取るようにわかる。時間だけでなく、燃費や、部品の故障も把握できるため、「コムトラックスの情報と、リアル(=直接のやり取り)で得た情報を組み合わせれば、高齢車が求めるサービスを展開できる」と、市原氏は言う。
工場のメンバーを代理店へと派遣したのは、1台でも多く高齢車が働く現場を回って顧客の声を聞くため。シリンダーやエンジンを再生していたのは、新品よりも安価な部品を用意することで、高齢車の修理需要をつかみやすくするための仕掛けだ。1月にできた情報資産応用部は、現場とコムトラックスのデータをもとに、高齢車向けの新たなアフターサービスのメニューを考える。
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