たとえ無価値だと思われるものでも、アイデア次第で価値を持ち値段を付けられる。日経ビジネス2月13日号特集「凄い値付け」でも、5円のマンボウを500円で卸す鮮魚流通ベンチャーを紹介した。ほかにもまだまだある。企業は最低限のコストで新たな収益源を構築できる可能性を秘める。それは、まるで都市型錬金術とも言うべき手法だ。

 「応接間のサイドボードに、お酒眠ってまへんか」。こう問いかけるのはのぶちゃんマン(京都市)の滝下信夫社長。同社が100円均一でパンを販売するチェーンを展開するほかに、最近力を入れているのが酒の買い取りだ。

家庭内に眠るウイスキーなどを買い取るのぶちゃんマンの滝下信夫社長。(写真撮影:菅野勝男)

 一般家庭に眠るお酒のボトルを買い取る。かつて多くの家庭には応接間があり、そこには応接セットとサイドボードを置くことがステータス。そして飾り棚には高級食器や洋酒を並べるのが定番の使い方だった。

 1970年代は海外旅行が珍しい時期でもあり、おみやげに洋酒を贈られることも多かった。だが、その多くは飾られるだけで放置されていることが少なくない。特に若い世代はお酒を飲む量が減っているため、使い道がないままとなっている。

 一方で古いお酒を探しているマニアはたくさんいる。サイドボードに眠るお酒たちは、マニアにとって宝物だ。そこで不要な家庭から買い取り、マニアへ販売している。1970年代のジョニーウォーカーブラックラベルを例にすると、1本300円前後で買い取る。ただし、消費期限切れや第3のビールは買い取らない。これを店頭で約3000円で売る。価値が10倍になった計算だ。

 さらに2月に、そうやって集めた酒を飲めるバーを開店する。高級感あふれる内装にしたバーで1杯1000円前後で提供する予定。1本のボトルから20杯は作れるので、2万円以上の売り上げが見込める。これで価値は60倍以上になる。「北新地や祇園のバーで飲めば1杯5000円はする。それを1000円で飲めるからお客さんも得」(滝下社長)。ほかにも、ビンテージワインなどでは20万円を超える買取金額を提示することもあるという。まさに眠っていた金鉱脈を掘り当てたようなものだ。