有料で捨てたものも値付けに成功

 無料どころか有料で捨てていたものに価値を見出し、商品化にこぎつけた企業もある。

 長崎県平戸市にあるベンチャー、アイル(早田圭介社長)が目をつけたのが規格外野菜だ。規格外野菜とはサイズが不揃いであったり、傷がついているといった理由で出荷できない野菜のことを指す。農家が収穫した野菜のうち4割程度は市場に流通できず廃棄処分となると言われている。

野菜を海苔のように乾燥させた、ベジート

 これを原材料にして、アイルは「ベジート」を製造している。野菜をペースト状にし、海苔を製造する要領で乾燥させる。パリッとした食感でにんじんや大根の味がそのまま残っている。早田社長が海苔と同じような食感となるように数年間研究を重ねた結果、出来上がった。早田社長は「海苔の代替商品ではなく、サンドウィッチといった新しい需要を開拓したい」と話す。早田社長によると海外の展示会に出展すると反応が良いという。

 このベジートは農家だけを救うものではない。のり業者が使わない夏場の乾燥機が使えるため、生産量が増えればのり業者に機械の使用料を支払える。アイルがある平戸市は有明海にも近く海苔業者が多くいる。彼らの収入アップにも貢献しそうだ。

 まだある。たまごの殻を使って新しい価値を見出したのが、佐賀県佐賀市にあるベンチャー、グリーンテクノ21(下浩史社長)だ。

 下社長は卵の殻を集めるために割卵業者や食品メーカーを回っている。下社長は「当初『たまごの殻を譲ってもらえませんか』と話をすると不信がられた」と笑う。それもそのはず。たまごの殻は産廃業者へ委託し、廃棄するものだった。1トンあたり2万円ほどかかるゴミを、下社長はわざわざ1キロあたり1円で買い取る。食品メーカーに卵の殻を乾燥し粉砕する機械を置く。定期的にグリーンテクノが回収する。

 同社が卵の殻で作るのはラインマーカーだ。小学校などの校庭に線を引く際に使うもの。20キロで800円ほどになる。40倍に化けるのだ。下社長がラインマーカーに目をつけたのが理由がある。市場性だ。「競合も少なく、販売価格が乱高下しない。安定した計画が立てられる」(下社長)。シェアはまだ5%ほどで「まだまだ開拓する余地がある」(下社長)。

 いずれの商品やサービスも発想を転換し、市場の見方を変えたことで新しい需要を掘り起こせた。コストを重視した同質市場から抜け出して、無駄に消耗しない戦い方を身に付けられる可能性も秘めている。

■変更履歴
本文に「ただし、消費期限切れや第3のビールは買い取らない。」という一文を追加しました。 [2018/02/08 16:00]