つまり、これまでの東京一極集中、大量生産・大量販売といった、経済の前提が成り立たなくなるのです。もちろん、移民を受け入れたり、産業のIT(情報技術化)を進めたりして、労働力の落ち込みを補う方法もあります。しかし、急速に進む高齢化や人口減少に、これだけでは立ち向かうことはできません。今までの産業構造や仕事の仕方にしがみつくことはもうできないのです。ですから「戦略的に縮む」ことが必要だと私は考えます。

 それは、人口が少なくなっても混乱に陥らないよう、国の土台を作り直すことにほかなりません。無理をして「これまでのやり方」を踏襲する必要はないはずです。私が提唱しているアイディアの1つに「拠点型社会」があります。

 これは、人が住む場所とそうでない場所を区別するやり方です。人口が減少し日本列島がスカスカになっているのに、皆が住みたいところに住んでいては非効率です。道路や水道といった公共インフラや民間サービスを日本全国に行き渡らせることは今後は難しくなります。だったら、居住エリアを決めて、そこに人や仕事、インフラ、サービスをすべてまとめてしまうのです。コンパクトにしてしまえば、高齢者でも少ない移動で済むので負担も軽くなるはずです。

人口15万~20万人の生活圏に人を集める

 地方には、人口15万~20万人の生活圏がたくさんあります。こうした既存の町を基にすれば、何も一から開発計画を立てる必要がないでしょう。地域内にこうした多数の拠点を設け、拠点同士を公共交通で結ぶ、拠点型のネットワーク社会にするのがいいと思います。

 地方なので、住居費も安く済ませることもできるはずです。なので、前述したような安い公営住宅を作ることも難しくない。自分の収入面のことを考え、生活コストの安い地方拠点に移り住み、そこで仕事もできるような社会にすべきです。IT技術の進歩で、今まで以上に離れた場所で仕事をすることも可能になるはずです。

 期間限定の「お客さん」として地方に移住するあり方を構築するのも手でしょう。住民票を複数持ち、季節によって住む場所を変えたりする生活の仕方もあっていいと思います。

 今は、地方自治体がいかに自分たちの区割りに人を集め、税収を増やすか、国から補助金をもらうかという発想になってしまっています。これは、人口増時代を基盤にしたやり方であり、これからは通用しません。人口減少社会でこのようなことをしようとすれば、足の引っ張り合いのようなことが起こってしまいます。そうではなく、これからは自治体同士で提携したり、一緒にやっていく発想も求められるでしょう。