子どもを産む母親の数がもう減っているのですから、仮に2065年に出生率が足元の1.44から2倍の2.88になっても、母親の数が半減している以上、生まれる子どもの数は現在の100万人弱とほとんど変わらないのです。2076年には、年間出生数が50万人を割り込むといわれています。その結果、2100年、日本の人口は約6000万人と、現在の約半分になるでしょう。

2040年まで増え続ける高齢者

人口半減社会ですね。

河合:はい。本格的な人口減少社会の到来の「前哨戦」として、子どもや若者の数が減っているのに高齢者がこれからどんどん増えていく。これが2040年頃までの近未来でまず起こるであろう日本の姿です。いわゆる「高齢化」というやつですね。

 「老老介護」という言葉に代表されるように、高齢者が高齢者を支えなければならなくなります。一人暮らしのお年寄りも増えていき、孤独死なども一層増えていくでしょう。日本はまずこれらの問題に向き合わなければなりません。

 私は、就職氷河期と重なったため貯蓄や年金が少ない団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年ごろ、「貧しい高齢者」が社会問題化すると思っています。貯金ができないまま老後に突入してしまったため、生活が苦しくなる人が増えてくるのです。

 これまでの世代は、住居を取得してきた人が多いため、老後で収入が減っても生活できる人が多かった。年金の給付水準も若い世代に比べて恵まれていましたし。

 しかし、2040年以降の高齢者は、住宅を取得できていない人がこれまでよりも増えるはずです。住居費は収入のうちで大きな割合を占めますから、収入が減る老後に住む場所がないと大変です。生活保護を受けざるを得ない状態の人が増えれば、国の財政を圧迫することになるでしょう。そうならないためにも、極端な話、家賃1万円でも住めるような、低所得の高齢者向けの公営住宅を整備するなど、政府は今後、高齢者の住まい問題に対策を打たなければならないのではないでしょうか。

「人生100年時代」と言われるように、人間の寿命も伸びています。

河合:日本はこれから、高齢者を支える若者がいないのに、長生きする高齢者がたくさんいる国になります。ですので、これからは社会の在り方の前提やライフプランの立て方すべてにおいて変えていかなければならないでしょう。「高齢者同士で助け合う」社会にならざるを得なくなってくると思います。

 年金給付の抑制も起こるでしょうから、皆が75歳、あるいは80歳近くまで働く社会が到来します。身体能力や認知能力が衰えても収入を得て生活できるよう、社会の枠組みを変えていかなければならないと思っています。

「戦略的に縮む」ことが必要

どのような仕組みにしていくべきなのでしょうか。

河合:サイズが小さくとも、自分たちで回していける社会にしていくべきです。日本の国力を支える生産年齢人口は今後、一段と少なくなります。2040年には5978万人、2065年には4529万人とピーク時の半分近くになります。これは、総人口の減少スピードを上回ります。

 働き手が減少し、成り立たなくなる産業や業種も出てくるでしょう。後継者不足で消滅していく技術などもたくさん出てくると思います。働く人は消費者でもありますから、消費も当然落ち込んできます。