退職金の使い道は臨時費用と心得る

最後におうかがいします。老後の大事な生活資金になるお金の1つに退職金があります。退職金はどのように使えばよいのでしょうか。

井戸:基本、臨時費用として使うべきだと思います。支出は固定費を中心としてむだなものは全部なくしていく、定期的に入ってくる公的年金、企業年金だけで足りない分は働いて稼ぐ。そうすれば働いている期間は取り崩さなくてもいいことになります。

大江:一番いけないのは、わーっと気が大きくなって、豪華客船世界一周みたいなのは、やっぱりやめたほうがいいです(笑)。あとは豪華に家をリフォームする人もいたり。そういう使い方はいけません。

 退職金はたぶん、井戸さんがおっしゃったように、毎月のフローのお金とは別枠であるべきです。そうすると随分精神的なゆとりが違ってきます。介護、医療で1人800万ぐらいをめどにすればいいとかとよく言うんですけど、それぐらいのものは、退職金で残して置いておくことができれば、やっぱり気持ち的にゆとりが違いますよね。そのために、足らない分を何らかの形で収入を得るように努力しましょうということです。

冒頭におっしゃっていた働き続けるスキルというのは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。

井戸:嫌なことはしたくないですよね。だったら、得意なこととか、自慢したいことをつくっておいて、それで収入を得られるようにできれば最高ですよね。働くのも嫌じゃない。

大江:そのためには、ニッチな路線を突き進むことです。例えばね、僕の知り合いで釣り好きな人がいます。むちゃくちゃ好きなんですよ。休みになったらいつも釣りに行ってるんですよ。そのうち、どこの漁場が釣れるとか、どうやって魚を探すとか、そんな情報をブログに載せるようになりました。

 これがまた人気になるのですよ。だったら有料にしてしまおうと有料のメールマガジンを作ったんです。そうすると情報欲しさに加入する人が増えるので、安定した月数万円の収入が入るようになりました。

貯金も大事だが、「貯人」も大事

すごいですね。

大江:普通サラリーマンの人に、あなたは何ができますかと言ったら、えっ、何ができるんだろうって、誰も答えれらないじゃないですか。いや、サラリーマンだからな、別に言われたことはやってきたけども、特段何も能力ないよなと思いますよね。

 でもね、基本的には、サラリーマンだったとしても、1つの仕事を10年とかやっていたら、世間的には立派なプロです。ということは、そのあなたの能力を見出してくれる人がいればいいわけです。そのためには、貯金も大事だけれども「貯人」も重要になってきます。人脈を現役時代から貯めておくのです。

井戸:とりあえず、会社員のときからすごい副業をするんじゃなくて、ちょっとずつ、ちょっとずつ種をまいていたら、それに合うニーズも出てくるはずです。

 金額云々、時給云々よりは、続けられるかどうかというほうが大事なのではないでしょうか。意外とお金は後でついてくると思うんです。最初は、1カ月目は1万円かもしれないけど、3年たつと5万円になっていたとか、時間がかかると思うけど、そういうのをコツコツやりながら、自分に合ったものを見つけていくのがよいのではないでしょうか。

大江:月に何十万円も稼ごうと思ったら、それはちょっと難しいですけど、10万円以内だったら、できないことはないと思うんです、例えば私は京都検定の1級を持っていますが、1日ガイドをやれば1万円の収入も可能です。こういうのを持っている人たちは皆、うんちくを語りたがりますから、楽しいと思いますよ。月に10日もやれば10万円でしょう。

井戸:私は発酵マイスターの資格を持っています。色々発酵させて遊んでいますけど、いつかこれを副業にしたいとたくらんでいます。(笑)。

50代になったら会社の人間とはつきあわない

話を聞いていて、自分にもできそうな気がしてきました。10万円ぐらいだったら、ちょっと自分の好きなことの延長線みたいなものをつくっておけば稼げそうな気がします。

大江:ただ、何よりも大事なのは、やっぱりさっきの貯人じゃないですけれども、人のつながりをたくさん持つということですね。そうすると、やっぱりそういう声がかかってきたり、何かそういうチャンスが見つけられたりする可能性があります。

 だから、もう50代になったら、会社の人間とは一切つき合わないことですよ。昼間は仕事だからしようがないですけれども、仕事が終わってからも会社の仲間と居酒屋行って飲んで、土・日は会社の仲間とゴルフやって・・・・・・。そんなの絶対だめですね。

 もうそれはほんとに寂しい老後が待ってるだけです、それではいけません。だから、40~50歳くらいから、会社以外の自分の居場所というか、世界を自分で作っていかなければならないと思いますよ。