可能なら贈与の制度をフル活用すべし

住居費と並んで大きな出費として挙げられるのが教育費です。さらに晩婚化、晩産化で子どもが独立するまでお金がかかり、老後資金が用意できないという声もよく聞きます。

大江:確かに晩婚化、晩産化というのが進んでいることは間違いないんですけれども、60歳になって、慌てて「あ、子供がまだ高校生だった」というのはどう考えたっておかしいですよね。だって、子どもが生まれた時点で、この子が大学に入るころには自分は何歳だというのは分かるじゃないですか。

 そうであれば、年をとってから結婚して子どもができてということであれば、そのときからやっぱり考えていかなきゃいけないし、それをうっかり考えてなかったんだったら、気がついたときから始めればいいでしょう。

でも、意外と考えてない人が多いんじゃないかなと思います。

井戸:ライフイベントには時期をずらせるものと、ずらせないものがあるんですよ。家を買うとか何かを買うというのは時期をずらせるけど、子供の入学とかはずらせない。あと、自分の60歳の1回目の退職もずらせないわけですよね。だから、そこでどういうふうに資金繰りをするかをやっておかないとだめだと思います。

 それに今、親から子供への贈与の制度があります。教育資金贈与とか住宅資金贈与ですね。余裕のある親やおじいちゃん、おばあちゃんから贈与していただくのも重要です(笑)。制度をフル活用しないと。

大江:準備できる期間は長いのだから、ちゃんと考えなかった人は自業自得な部分もあるのではないでしょうか。

でも皆さん、結構自分の子どもに期待をかけ過ぎて、うちの親なんかも特にそうなんですけど、国立に行くだろうという前提で準備していて、実は私立だったみたいな。どこに進学するかで、かなり差が出ますよね。だからやっぱり教育費は多めに見積もったほうがいいのではないでしょうか。

井戸:でも、積み立てるにも限度がありますね。自分たちの老後の積立もしないといけないし、教育費にも限度があるから、もうそれは予算内で積み立てるしかないです。そして、それを子どもに見せるのです。我が家は全部、子どもに見せています。私たちは頑張ってここまで働いたとしてもこれだけしか払えないからと、ちゃんとお財布を見せて、親ができることを説明する。そして、毎月かかる教育費に関しても年収の20~30%までしか払わないとか、上限を決めておきたいですね。そうしないと、どんどん膨らんでしまいます。

教育費と老後資金はトレードオフ

大江:やっぱり、教育費と老後の資金ってトレードオフみたいなところがありますから、子供の教育にお金をかけ過ぎて自分の老後資金がなくなってしまって、将来、子供に面倒を見てもらうというのはちょっと本末転倒ですよね。

住居費と教育費以外で、何か特に定年までに結構かかってきそうな資金というのはほかにあるんですかね。

井戸:冠婚葬祭ではないでしょうか。みんな、親世代が亡くなっていくから。私の母は7人兄弟なのですが、母の葬儀の際、きょうだいたちがみんな配偶者と2人ずつ並んで座っていました。それを見て、「お葬式がこれから14回も」と思いましたよ。意外と侮れません。ある程度は予算を組んでおかないと。